春を告げるサボテン(ツルビニカルプスⅡ)

   
先週はえらい雪が降るわ積もるわ、今世紀最強の大寒波がやってくるわで、
春の訪れも一気に遠のいたような気もしますが、健気に咲き続けてる彼ら彼女らに
報いてやりたいとこの稿を書いています。




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             Turbinicarpus ellisae = Turbinicarpus schmiedickeanus ssp.schwarzii var.rubriflorus




ツルビニ・エリサエ(Turbinicarpus ellisae)。
この属でも屈指の美しい種でありながら、あまり知られていない種です。
分類の上では、
・赤花昇竜丸(Turbinicarpus schmiedickeanus ssp.rubriflorus)、
・赤花烏城丸(Turbinicarpus schmiedickeanus ssp.schwarzii var.rubriflorus)
とされる場合もありますが、
栽培した上での感覚からは、後者の烏城丸赤花変異と考えると理解しやすい。
記載は1993年と比較的最近で、自生地はメキシコ・サンルイスポトシ州の
Cerros Blancos とされていますから、栽培下での交雑種ではないようです。
昇竜丸系の刺の魅力と、精巧殿やバラ丸の艶やかな花をあわせもった魅力的な
カクタスであることは間違いありません。




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                 Turbinicarpus graminispinus




グラミニスピナス(Turbinicarpus graminispinus)は、2011年に記載された
本属ではもっとも新しい種ですが、育てやすさも手伝って、種子からの繁殖苗が
比較的容易に手に入ります。特色は枯草に擬態しているとされる長い紙状の刺で、
老成した株では7-8cmの長さまで伸びて絡み合います。
原産地はメキシコ・ヌエボレオン州の南部の狭い地域で、ライムストーンの割れ目に
生えていて、枯草のように見える。所見の印象は北米難物種のトウメヤ・月の童子と
似ているな、というものでしたが、比べるとはるかに育てやすく、今後の普及が
期待できそうです。




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               Turbinicarpus booleanus = Turbinicarpus mandragora ssp.booleanus




最後は、これも分類上はややこしいブーレアヌス(Turbinicarpus booleanus)。
地下には肥大した塊根があり、サボテン本体は下部が細い軸のようになっているため、
塊根の本体、ふたつの玉を棒でつなげたような奇妙な姿になります。
私は根を埋めていますが、最近の流行のように塊根を露出させたら、かなり面白い
オブジェになるでしょう。原産地はヌエボレオン州のSan Roberto周辺とされています。

さて、ここからがややこしい話です。
ブーレアヌスに良く似た種に、有名な美針玉(Turbinicarpus mandragora)があります。
ハリーポッターにも出てくる魔術的植物、あのマンドレイクの名を頂く珍無類のカクタス。
その亜種とされる場合、Turbinicarpus mandragora ssp.booleanus ということに。
一方で、美針玉としばしば混同されるサブテラネウス(Turbinicarpus subterraneus)、
という種もありまして、ブーレアヌスはこちらの亜種として、
Turbinicarpus subterraneus ssp.booleanus と表記されることもあり、ややこしい。




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いったいどちらなのか。そもそも美針玉とサブテラネウスもしばしば混同されますが、
種子の形態などから、明らかな別種とされています。栽培するうえでは、本物の美針玉は、
メキシコ産のサボテンはいちばん栽培が難しいもののひとつで、お宝級の稀少品。
ブーレアヌスは、塊根と球体のバランスや、刺の生え方など美針玉にとても似ています。
花も透明感ある美しいピンクで、美針玉よりもあでやか。そして、ずっと育てやすい。
しかし、その育てやすさは、サブテラネウスにそっくり・・・。

・・・とかなんとか、頭が混乱してくるのは、マンドラゴラの魔術にかかってしまったからも。
ツルビニツルビニ、マンドラゴラ。ツルビニツルビニ、ブーレアヌス・・・。







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ジャンル : 趣味・実用

エスコバリア3種。

              
今週もサボテンです。
小型で地味で滋味深い、北米原産の小型種、エスコバリア属からいくつか。
まずはこちら。




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               Escobaria laredoi SB289 GeneralCepeda,Coah,Mex.




エスコバリア・ラレドイ(Escobaria laredoi SB289 GeneralCepeda,Coah,Mex.)。
いわゆるガラス白刺の系統ですが、この種の刺はあまりに細かくて、遠目には羽毛のように見えます。
雪のように白い刺のあいだから、濃い桃色の花が咲きます。小輪ですが、中心部にかけてグラデーションで
黄緑色になっていて、単調な色合いではありません。多花性なので、花殻をマメにとらないと汚くなっちゃう。
よく子吹きしますが、白系マミラリアのような整った群生株に仕立てるのはなかなか難しい。
肉質がやわらかく、日照が足りないとすぐに型崩れしやすいのです。
ただ、園芸植物として、そもそものポテンシャルはとても高いので、名人なら品評会で賞を獲るような
作品にも作りこめるんじゃないかと思います。




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               Escobaria missouriensis ssp.marstonii RP150 Mohave Co.Arizona, USA




つづいては、全サボテンのなかで最も広い分布範囲をもつ給分丸の小型のバリエーション、アリゾナ産の
マルストニー(Escobaria missouriensis ssp.marstonii RP150 Mohave Co.Arizona, USA)です。
基本種のミズーリエンシス(給分丸)の分布範囲は、北は極寒のサウスダゴダ州から南はメキシコまで。
驚くべきことに、この種から分化したとみらえる近縁種、キューベンシス(Eescobaria cubensis)は、
カリブ海のキューバ原産です。この種の赤く大きな果実が鳥によって広範囲に拡散されたために、
分布域が極端に広がったと言われています。

このマルストニーはアリゾナ州で難物サボ、飛鳥(Pediocactus peeblesianus)と一緒に生えています。
寒暑の厳しい環境にたえるため、小型化し夏や冬は地中に潜りこんで生活するところは、飛鳥と同じです。
自生地を何度か訪ねましたが、見つけられたためしがない。花が咲いてないとまずみつからないでしょう。
鉢栽培でも、写真のような成長開花期は瑞々しく膨らみますが、夏冬は地表面より下に潜り込みます。
その姿がまた、面白く、かわいらしいサボテンです。




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                Escobaria robbinsorum SB464 Cochise Co.,Az,USA




最後は、ロビンソルム(Escobaria robbinsorum SB464 Cochise Co.,Az,USA)。
エスコバリアのなかでは難物的に語られることもありますが、成長が遅いだけで丈夫なサボテンです。
小さいながらマッシブな球体に、自生地の石灰岩に同化する真っ白で太い刺が風格を与えています。
この株は実生20年くらい経っていますが、10年目くらいからあと、ほとんど大きさが変わっていません。
成長したぶん、古い組織が縮んで下部にまわっていきます。
自生地はアメリカ・アリゾナ州の最南端にあり、メキシコ国境沿いのダートロードを延々と走らないと
たどり着けないのですが、国境警察が警戒を強めている道なので外国人旅行者は簡単に入れて貰えない。
そのうち、トランプ大統領の「壁」建設でこの種の自生地が壊されなきゃいいな、なんて。

エスコバリア、場所はとりませんので、ぜひお手元に。







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春を告げるサボテン(ツルビニカルプス)

           
年があけて日が長くなりはじめ、ツルビニカルプスの花が咲くようになると、春が近づいてきたことを実感します。
ツルビニは、小さいのに風格があるし、花も美しい。場所もとらず、刺も痛くない。
性質も温和で親密な気持ちで向き合える植物です。




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                  Turbinicarpus valdezianus  P267 Saltillo,Coahuila




バラ丸(Turbinicarpus valdezianus)は、そもそも小さいツルビニのなかでも最も小さい種で、
球径は1~2cmくらいで、高さも数センチ。小指ほどのボディが鮮やかなピンクの冠で飾られる花時は最高です。
接ぎ木したりして大群生をつくる人もいますが、私の場合はあえて人間のスケール感に引き寄せることはせず、
本来のサイズ感で楽しんでいます。小さいサボテンにはよくあるパターンで、地中には、地上部分と同じかそれ以上の
塊根が発達します。けれど柔らかい根なので残念ながら地上に出すのには向いていません。また、太く長い根を
大事にする必要があるので、小さく浅い鉢では納まりが悪い。よって、鉢と植物(地上部)のバランスをとるためにも、
何本か寄せ植えすることになります。もしかしたら、石なんかを配しても面白いかも。




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                    Turbinicarpus hoferi  Aramberri, Nuevo León




菊水?と思った人もいるかも知れません。じっさいこの種が見つかった当初は、菊水の亜種ではないかとする人もいたくらい。
ホフェリ(Turbinicarpus hoferi)は、菊水ほどではありませんが、生育も遅く渋いあじわいのツルビニです。
もう少し大きくなると、同じツルビニの姣麗丸(Turbinicarpus lophophoroides)と似た雰囲気になってきます。
種も菊水(Strombocactus disciformis)とは異なり、実際には違う種であることは明らかですが、ストロンボカクタスじたい、
ツルビニと属間交雑が成り立つ近しい関係にあるので、他人のそら似とはちょっと違うかも知れません。
このホフェリ、導入された当時はとても人気がありましたが、最近はあまり見なくなりました。発見当初に自生地が荒らされ、
稀少になっているそうなので、栽培個体も種の保全をはかっていきたいところです。




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              Turbinicarpus schmiedickeanus ssp.andersonii Guadalcazar SLP




三つめは、これも比較的あたらしい種、アンダーソニー(Turbinicarpus schmiedickeanus ssp.andersonii)。
といっても、すでに導入から二十年以上経っているかな。いまでもメジャーなアロンソイとほぼ同時期に発見されて、
一時はこちらの方が稀少種として人気があったかも。導入当初は、みつけたイタリアのサボテン屋さんの名前から
パナロットイ(T.schmiedickeanus ssp panarottoi)と呼ばれていました。私は当時、イタリアのサボテン雑誌に
寄稿した返礼にその人由来の種をもらいました。なので、いまもうちの株にはパナロットイの名札が立っています。
基本種の昇竜丸に比べて、扁平な球体、端整な刺、ストライプの入る花。悪くないのですが、群生しにくいせいか、
徐々にマイナー種なっていったようです。

小さくても風格あるツルビニカルプス。都会の園芸にはぴったりだと思いますが、長くつきあっていて感じるのは、
寿命が比較的短いのではないか、ということ。種から2、3年で開花しますが、5年目くらいから大きさが変わらなく
なり、15年くらいするとなんとなく勢いがなくなってくる(老化?)。こうした傾向は、小型のサボテン全般にあります。
ツルビニは、花もよく咲き実生も容易なので、世代交代をはかるのがよいと思います。








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