FC2ブログ

神竜玉(Echinocactus parryi)


 神竜玉(Echinocactus parryi)。数あるカクタスのなかでも、間違いなく名品です。サボテンの中のサボテン、エキノカクタスの6種類しかないうちの1種。でも、王者金鯱や、芸の多様性で人気がある太平丸に綾波、難物の誉れ高い大竜冠の影にかくれて、知らない人は知らない種類かも知れません。栽培は難しくないですが、易しくもない。刺は強いが、太平ほど芸がないし、大竜冠ほどうねらないし、綾波ほど幅広でもない。では何が魅力なのか。




resize5803.jpg
   Echinocactus parryi  SB59  Samalayuca,Chih 



 目の前に置いて眺めてみるとわかります。これほど端然とした佇まいのカクタスはあまりない。くすんだ肌色の植物体は扁平から球形に育ち、最大で30cmほどになります。稜は高く、概ね13。豪壮な刺は黄~赤褐色で、四方にひろがり鷲の爪のように湾曲します。なんというか、このカクタスにはずっしりとした重量感があるのです。大きさ以上の存在感というか。花も大輪の黄色で花底部が赤く染まる見事なものです。ちょっとアストロフィツムを思わせますね。アストロも、かつてはエキノカクタスでした。




resize5806.jpg




 写真の株は種を蒔いて20年ほど育てている株で、径14cmくらい。同じとき蒔いた株がもう一本ありますが、どちらも故障なく、毎年春から夏にかけて3つか4つほど新しい刺座を出し、初夏から夏に何度か花も咲かせてくれています。大竜冠に通じる雰囲気があり、自生地の環境も似ていますが、比べるとだいぶ育てやすい。難易度で言うと、太平丸と同じくらいかな。暑さにも寒さにも強いですが、過湿は苦手なようです。春から初夏に数回水をやって、夏は休ませて、秋にまたなんどか水やりをする、というペースで育てています。かつて、ワイルド個体も輸入されていましたが、今でも残っているものがあるんじゃないかと思います。




resize5804.jpg

resize5809.jpg




 エキノカクタスの各種は、いずれも分布範囲が広く、タイプ差が色々あって蒐集の対象にもなっているのですが、神竜玉は金鯱と並んで自生範囲が狭い稀少種です。自生地はメキシコ・チワワ州のシウダー・フアレス(Ciudad Juárez)に近いサマラユカ(Samalayuca)周辺に限られていて、その範囲は20,000平方キロメートル程度とみられています。自生範囲が狭いために顔違い、タイプ違いはあまり見られません。もちろん、たーくさん種を蒔けば、変わった個体も出てくるかもしれませんが。
 かつて刊行されていた専門「シャボテン」に、清水秀男さんが神竜玉の自生地を訪ねる旅を書いておられて、その植物の美しさに憧れて訪ねようと思ったこともあります。テキサスのエルパソ(El Paso)まで行きましたが、当時ファレスの治安が極端に悪くなっていて、越境を断念しました。いつか、自生地であってみたい憧れのカクタスのひとつです。










テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

去りゆく夏を惜しむ刺花。

     
まだ8月だというのに、ここのところ雨ばかりで、すっかり涼しくなってしまいました。
猛暑はしんどい、と文句を言いながら、夏が急に終わるとやけにさみしい気分になったりして。
去りゆく夏を惜しんで、今回も刺ものの写真を並べてみます。今回は花咲く姿で。




resize1182.jpg

resize1188.jpg

resize1187.jpg
         Echinocactus parryi SB 59 Samalayuca, Chih




神竜玉(Echinocactus parryi SB 59 Samalayuca, Chih)。
エキノカクタスのなかでは、もっとも分布範囲が狭い稀少種です。大竜冠(E.polycephalus)に
雰囲気が似ているために難物扱いされることもありますが、実際はこの種の栽培は難しくありません。
成長も早くはないですが、太平丸(E.horizonthalonius)より早く、綾波(E.texensis)より遅いという程度。
自生地は大竜冠と似たようなガレガレの岩山で、太陽光線をまともに浴びて育っています。
私のところでも遮光なし、温室内のガラスに近い高温になる場所に置いていますが、日焼けしません。
この株は実生12年くらいだと思いますが、径10cm足らずのときから開花しており、よく咲きます。
兜(astrophytum asterias)を思わせる低紅の黄花ですが、アストロも元来はエキノカクタスでしたね。




resize1180.jpg

resize1181.jpg
      Ferocactus gracilis ssp. gracilis SB1280 El Rosario, BajaCalifornia
resize1175.jpg

resize1176.jpg
       Ferocactus chrysacanthus 'rubrispinus' Cedros Island, Baja California




こちらは、先回の続きで赤刺フェロの花です。
上は刈穂玉(Ferocactus gracilis ssp. gracilis SB1280 El Rosario, BajaCalifornia)。
下は赤刺金冠竜(Ferocactus chrysacanthus 'rubrispinus' Cedros Island, Baja California)。
刈穂はもう少し南に分布する神仙玉の舌状の幅広刺と比べられるので損をしているサボテンですが、
刺色の赤さ、透明感のある鮮やかさは、捨てがたい。
後者は、セドロス島を訪ねた某氏から、自生地種の実生から出たものだよ、と頂いた株。数年前から
開花しています。もうひと株あるので同時に咲いたら種が採りたいのですが、片割れはまだ咲かない。
どちらも関東沿岸部の地上温室栽培ゆえに、刺に黒いカビ汚れがついてしまっているのが残念なところ。




resize1169.jpg

resize1170.jpg

resize1173.jpg

resize1174.jpg
               Ferocactus glaucescens 'inermis'




最後は刺無王冠竜(Ferocactus glaucescens 'inermis')。
園芸的な奇形種ですが、生殖能力は失われておらず、種をとってまくと、同じ刺なしが生えます。
基本種よりも開花旺盛なようで、このくらいの(フェロとしては)小さいサイズから沢山花をつけます。
王冠竜は青肌と黄刺が大変美しいフェロですが、栽培しやすくて駄もの扱いされているようで、
愛好家の栽培場ではあまり見かけなくなりました。
この個体はトゲを失うとともに蜜腺も退化したのか、あまり刺座が汚れないのはありがたい。
金属光沢ある輝黄花は、真夏の陽光に素晴らしく映えます。

それにしても、この夏は残暑もなく終わってしまうのかなぁ。







テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

赤いやつら。

                
炎天下、ギラつく陽射しをうけて、いちばん輝いてみえるサボテンは、やっぱりこいつらです。
この季節、温室に入ると身体が焦げそうだと、ガラス越しに眺めることが多いヘタれ栽培者を見返すように、
平然と真っ赤な刺を振りかざしています。




resize1155.jpg

resize1160.jpg
       Echinocactus polycephalus old imported speciman



この大きい群生は、大竜冠(Echinocactus polycephalus old imported speciman)です。
十年ほど前に、たくさん輸入株が入りましたが、これは90年頃に、アメリカから輸入したもの。
当時は太平や英冠、ダシリリオンなどの山木を、ツーソンのADPという業者が書類付きで送ってくれました。
大竜冠はいわゆる難物の一角と見做されますが、成長は甚だしく遅いものの栽培が極度に難しいわけではない。
この株も30年近く故障なく育っています。ちなみに下の株は実生したもので、これで10年以上経っている。
そこから考えると、この群生株は何年生きているのか。うちに来てから、鉢の号数は変わらないです。




resize1158.jpg
         Ferocactus cylindraceus  KY9601 San Bernardino Co, CA



刺サボテンの王者といえば、赤刺フェロカクタスですが、信州高地などでなければうまく育たないと言われます。
関東の私の所では、かれこれ40年近く栽培していても、いまだに満足する出来映えになりません。
でも、あきらめきれない。この鯱頭(Ferocactus cylindraceus KY9601 San Bernardino Co, CA)は、
いちばん赤い刺、本物の紅鯱を探しあるいて、種を採ってきて蒔きました。実生から15年くらい経っています。
がんばって、がんばって、やっとこのくらいの作。しかも、撮影用にシャワーで赤み強調。

で、シャワーの前はこんな感じ。




resize1168.jpg

resize1166.jpg




刺のうねり具合、長さともまずまず。この型は大きくなっても刺色は赤いままです。
日本で鯱頭として流通しているのは、北方系(ネバダ・ユタ)の種がルーツのものがが多いように思えます。
このカリフォルニア中央部原産の紅鯱は、意外に見かけません。
おそらく最強のコロニーの種から育てたので、信州とか、屋上沙漠とかで鍛えれば、もっと地肌が見えない
豪壮な紅鯱に仕上がると思うのですが・・・。




resize1162.jpg

resize1165.jpg
          Ferocactus gracilis 'coloratus'  SB1240 Punta Prieta BCN



そして、日本で最も人気の赤刺といえばこれでしょうか。
神仙玉(Ferocactus gracilis 'coloratus' SB1240 Punta Prieta BCN)。
こちらはメサガーデンの種からの育成苗で、刺色、刺幅はまずまずです。でも、一部難あり。
関東など海岸部で刺ものを綺麗に育てる策として、屋上栽培があります。地湿があがらず、
風通しと陽当たりのよい屋上で、無遮光栽培すれば、関東でもかなり美しい刺に育つ。
以前、私のところでも疑似屋上フレームを作り、この株も途中まではそこで育っていました。
その後、震災を受けて疑似屋上を取り壊すこととなり、いまは地上のガラス温室で遮光なしの栽培です。
となると、どうしても避けられないのが、刺座につく黒いカビ。屋上時代は、つきませんでした。
どうしても梅雨と秋雨の時期にカビがつくようです。

どうすればうまく育つのがわかっていても、環境をつくれないのはなかなか悔しい。
それでもなお、炎のような赤刺への挑戦、あきらめることは出来ないでいます。




resize1159.jpg


















プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。
著書「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(日本文芸社)」

最新記事
全記事表示を読む

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カレンダー
08 | 2019/09 | 10
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
Excite自動翻訳
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる