去りゆく夏を惜しむ刺花。

     
まだ8月だというのに、ここのところ雨ばかりで、すっかり涼しくなってしまいました。
猛暑はしんどい、と文句を言いながら、夏が急に終わるとやけにさみしい気分になったりして。
去りゆく夏を惜しんで、今回も刺ものの写真を並べてみます。今回は花咲く姿で。




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         Echinocactus parryi SB 59 Samalayuca, Chih




神竜玉(Echinocactus parryi SB 59 Samalayuca, Chih)。
エキノカクタスのなかでは、もっとも分布範囲が狭い稀少種です。大竜冠(E.polycephalus)に
雰囲気が似ているために難物扱いされることもありますが、実際はこの種の栽培は難しくありません。
成長も早くはないですが、太平丸(E.horizonthalonius)より早く、綾波(E.texensis)より遅いという程度。
自生地は大竜冠と似たようなガレガレの岩山で、太陽光線をまともに浴びて育っています。
私のところでも遮光なし、温室内のガラスに近い高温になる場所に置いていますが、日焼けしません。
この株は実生12年くらいだと思いますが、径10cm足らずのときから開花しており、よく咲きます。
兜(astrophytum asterias)を思わせる低紅の黄花ですが、アストロも元来はエキノカクタスでしたね。




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      Ferocactus gracilis ssp. gracilis SB1280 El Rosario, BajaCalifornia
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       Ferocactus chrysacanthus 'rubrispinus' Cedros Island, Baja California




こちらは、先回の続きで赤刺フェロの花です。
上は刈穂玉(Ferocactus gracilis ssp. gracilis SB1280 El Rosario, BajaCalifornia)。
下は赤刺金冠竜(Ferocactus chrysacanthus 'rubrispinus' Cedros Island, Baja California)。
刈穂はもう少し南に分布する神仙玉の舌状の幅広刺と比べられるので損をしているサボテンですが、
刺色の赤さ、透明感のある鮮やかさは、捨てがたい。
後者は、セドロス島を訪ねた某氏から、自生地種の実生から出たものだよ、と頂いた株。数年前から
開花しています。もうひと株あるので同時に咲いたら種が採りたいのですが、片割れはまだ咲かない。
どちらも関東沿岸部の地上温室栽培ゆえに、刺に黒いカビ汚れがついてしまっているのが残念なところ。




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               Ferocactus glaucescens 'inermis'




最後は刺無王冠竜(Ferocactus glaucescens 'inermis')。
園芸的な奇形種ですが、生殖能力は失われておらず、種をとってまくと、同じ刺なしが生えます。
基本種よりも開花旺盛なようで、このくらいの(フェロとしては)小さいサイズから沢山花をつけます。
王冠竜は青肌と黄刺が大変美しいフェロですが、栽培しやすくて駄もの扱いされているようで、
愛好家の栽培場ではあまり見かけなくなりました。
この個体はトゲを失うとともに蜜腺も退化したのか、あまり刺座が汚れないのはありがたい。
金属光沢ある輝黄花は、真夏の陽光に素晴らしく映えます。

それにしても、この夏は残暑もなく終わってしまうのかなぁ。







テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

赤いやつら。

                
炎天下、ギラつく陽射しをうけて、いちばん輝いてみえるサボテンは、やっぱりこいつらです。
この季節、温室に入ると身体が焦げそうだと、ガラス越しに眺めることが多いヘタれ栽培者を見返すように、
平然と真っ赤な刺を振りかざしています。




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       Echinocactus polycephalus old imported speciman



この大きい群生は、大竜冠(Echinocactus polycephalus old imported speciman)です。
十年ほど前に、たくさん輸入株が入りましたが、これは90年頃に、アメリカから輸入したもの。
当時は太平や英冠、ダシリリオンなどの山木を、ツーソンのADPという業者が書類付きで送ってくれました。
大竜冠はいわゆる難物の一角と見做されますが、成長は甚だしく遅いものの栽培が極度に難しいわけではない。
この株も30年近く故障なく育っています。ちなみに下の株は実生したもので、これで10年以上経っている。
そこから考えると、この群生株は何年生きているのか。うちに来てから、鉢の号数は変わらないです。




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         Ferocactus cylindraceus  KY9601 San Bernardino Co, CA



刺サボテンの王者といえば、赤刺フェロカクタスですが、信州高地などでなければうまく育たないと言われます。
関東の私の所では、かれこれ40年近く栽培していても、いまだに満足する出来映えになりません。
でも、あきらめきれない。この鯱頭(Ferocactus cylindraceus KY9601 San Bernardino Co, CA)は、
いちばん赤い刺、本物の紅鯱を探しあるいて、種を採ってきて蒔きました。実生から15年くらい経っています。
がんばって、がんばって、やっとこのくらいの作。しかも、撮影用にシャワーで赤み強調。

で、シャワーの前はこんな感じ。




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刺のうねり具合、長さともまずまず。この型は大きくなっても刺色は赤いままです。
日本で鯱頭として流通しているのは、北方系(ネバダ・ユタ)の種がルーツのものがが多いように思えます。
このカリフォルニア中央部原産の紅鯱は、意外に見かけません。
おそらく最強のコロニーの種から育てたので、信州とか、屋上沙漠とかで鍛えれば、もっと地肌が見えない
豪壮な紅鯱に仕上がると思うのですが・・・。




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          Ferocactus gracilis 'coloratus'  SB1240 Punta Prieta BCN



そして、日本で最も人気の赤刺といえばこれでしょうか。
神仙玉(Ferocactus gracilis 'coloratus' SB1240 Punta Prieta BCN)。
こちらはメサガーデンの種からの育成苗で、刺色、刺幅はまずまずです。でも、一部難あり。
関東など海岸部で刺ものを綺麗に育てる策として、屋上栽培があります。地湿があがらず、
風通しと陽当たりのよい屋上で、無遮光栽培すれば、関東でもかなり美しい刺に育つ。
以前、私のところでも疑似屋上フレームを作り、この株も途中まではそこで育っていました。
その後、震災を受けて疑似屋上を取り壊すこととなり、いまは地上のガラス温室で遮光なしの栽培です。
となると、どうしても避けられないのが、刺座につく黒いカビ。屋上時代は、つきませんでした。
どうしても梅雨と秋雨の時期にカビがつくようです。

どうすればうまく育つのがわかっていても、環境をつくれないのはなかなか悔しい。
それでもなお、炎のような赤刺への挑戦、あきらめることは出来ないでいます。




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刺サボたちの、その後。

サボテンといえばトゲ、トゲといえばサボテン。
そのトゲ美の最たるもの、フェロカクタス(Ferocactus)属を美しく育てるための
格闘の日々について、以前ここに書きました
カギは、強光、炎暑、乾燥。そして夜間の温度低下。これがすべて達成できれば、自生地ばりの色鮮やかで
雄々しい刺姿が再現できる筈ですが、言うは易く行うは難し。

私の栽培場は都内低地の小ガラス室と、同じく関東南部の田舎にしつらえたビニールハウスと、
2カ所あるのですが、どちらも美トゲ栽培には向いてない。ことに後者は、強い日照や風通しの良さに期待したのに、
これが予想に反してぜんぜんダメ。もとが田圃ゆえに、土から上がってくる湿度が甚だしく高くてうまくいきません。



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                  かつての「天蓋フレーム」と、その当時のフェロカクタス


で、刺ものは都会の狭小地に、上のような木造高層フレーム?を構築して何とかこんな程度にはそれらしい刺に
育てていたのですが、その後これが耐震強度の不足で取り壊しになり(このあたり旧エントリーに詳述)、
一から出直しとなったのでした。新たな置き場所は、さんざん迷ったのですが、都内の小ガラス室に移しました。
前に建物があるため、秋~冬は正午前後しか陽が射しませんが、最南面なので春~夏は最も強く陽が当たります。
棚がやや高く、ガラス面に近いところで栽培できるのも長所です。ただ、都内の我が家もかつて沼があった
場所の近くゆえ湿気が多く、また建物が接近しているので風通しもあまりよくありません。



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                    現在の、ガラス小温室のフェロカクタス


こちらがその栽培棚雑感。ごくふつうのガラス温室ですね。
出来る工夫として試みたのが、無遮光ガラスを磨き上げ日照を最大限取り込むこと。さらに天窓開放の設定温度を
引き上げ、40度を超えるまでは閉め切ること(高温を実現するため)。以下、あれから約1年半育ててみた、現状。



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写真の2枚の赤刺金冠竜(Ferocactus Chrysacanthus)は、同じ個体です。
上は高層フレームでの栽培時。下が現在です。蜜の分泌の多い個体で、以前も多少はスス黴びが出ましたが、
いまは刺座がかなり黒く汚れています。鑑賞上許せるギリギリの感じ。この、刺座がカビて黒く汚れるというのが、
関東低地でのフェロカクタス栽培では最大の困難だと思うのですが、これを防ぐには徹底した乾燥と強光高温環境
しかない、と思っています。実はこのカビが出てしまうのは、9-10月の秋の長雨のタイミング。雨による湿度上昇に
加え、私の栽培場では日照時間がガクンと減り、高温が実現出来なくなります。加えてフェロは、結実期の晩夏~
秋に多くの蜜を分布するため、カビが出やすいのです。もう一枚の写真の紫禁城(Ferocactus diguetii)なども、
新刺は美しいですが、少し下に回ってくると、刺座が汚れてきてしまいます。



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一方で、まずまずの状態を維持している個体もあります。
同じ金冠竜でも、上の黄・赤の2株は、蜜の分布量がやや少ないためか、刺座の汚れはさほど酷くなっていない。
刺の出具合も、それほど悪くなっていない。というか、これは元々信州のスゴ刺個体ほどではなかったので
驚くにはあたりませんが、ともかく天蓋→地べたでの、刺落ちは見られません。
下の写真は刈穂・神仙(Ferocactus gracilis)ですが、こちらも刺の強さはまずまず満足の作です。
けれどもよくみると、刺座は少し汚れが増えている。アルコール噴霧なども試みましたが、効果は実感出来ず。
ともあれ、"劣化"をこの程度に留められた最大の理由は閉めきりによる高温維持だと考えています。
夏の最高温度記録は軽~く50度超え。当然、日焼けも続発し、太平丸などはとても置けないことが判明しました。
綾波なんかも、夏の夕方には肌に白いやけどがうかびあがる(翌朝には回復する)。まあ、ギリギリの環境です。



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                 「超高温密閉栽培」・・・扇風機を回しても、日焼けの犠牲者が・・・


温室を閉め切りにして激しい高温環境にする、というのは、その昔「伊丹式高温蒸し作り」として伝えられてきた
やり方に少し近い。これは最近の遮光ビニールハウスでの蒸し作りとは異なり、無遮光の丈の低いフレームで、
無遮光高温環境とし、通常なら確実に焼け死ぬところを、度々のシリンジ加湿でなんとか焼かずに育てる、という
かなりハードで、かつ高い技術が求められる栽培法です。この方法では、刺サボもよく育ったそうです。
ですが、私にはそんなことは時間的にも技量的にも出来っこないので、かわりに強力な扇風機を設置しました。
密閉高温下でも、空気が動くことで植物体表面の温度は多少下げることは出来るというわけです。
しかし、上の日の出丸(Ferocactus latispinus)のような、可哀想な例も出てきます。
回復しないレベルの日焼けを蒙っているのに、それでも刺座にはカビがついてる。
この種は蜜が多いので仕方ないところがありますが、まあ、この環境での限界、といったところかも知れません。



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                   「ポリカ簡易屋外フレーム」の試行


最後に、もうひとつのチャレンジ。
こちらは、関東南部の田舎栽培場です。日照豊富で、スペースにもゆとりがあるので、大きく育つ刺サボテンには
ぴったりの筈ですが、これがなかなかうまくいかない。元々田圃だった場所のためか、土からあがってくる湿度が
甚だしく高いのです。なので、ハウスにおいた刺ものはあっという間にカビだらけになってしまいます。
ロホの綿毛や兜の刺座さえも黒っぽく汚れてしまうくらい。

なので、屋外にこんなスタイルの超簡易、極く通風のよいフレームを置いてみました。拙ブログにも度々、
コメント頂いている、関西のmasutus名人のアイディアで、透明素材はポリカ板を使っています。
いまのところ、通風がよいせいか、刺座のカビはあまり出ない。ただ、写真(右側のサボ)の鯱頭のように、
刺色がかなり褪せてしまうのです。なぜか?どうも結露が激しいためのようです。地理的環境ゆえなのか、
元が田圃だからか、この栽培場では、春秋の夜温がさがる時期には、草木も栽培棚も、雨が降ったのか?と
疑わせるくらい、結露でぐっしょり濡れそぼります。毎朝毎晩、頭上灌水しているような状態ゆえ、
刺色が褪せてしまうのです。ただ、現在は草地の上に網棚をおき、小さなベニヤ板を敷いた上にサボテンを
並べているだけなので、もっと大面積で土からあがる湿気を遮断するなど、改善の余地がありそうです。
今後このあたりの壁を破れれば、刺サボ栽培に新たな活路も拓けそうです。

きょうは久々のお休みだったんですが、雨で花も見られず、水やりもあたわず・・・で、パソコンのなかで
サボテンと戯れていた次第。




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