我が家の一点モノ⑤精巧丸


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我が家の一点もの。きょうは古い精巧丸(Pelecyphora aselliformis)です。
うちでは数少ない、セリで多少値がつくようなサボテン。
これは、輸入球がまだ入ってきていた頃に買ったもので、そんなに高価ではありませんでした。
学生のこづかいで手が出せるくらい。それからかれこれ四半世紀あまり我が家にいます。




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            Pelecyphora aselliformis old imported plant, growing 25yrs in my greenhouse




横からみるとなかなか立派なのですが、上から見ると、上弦の月、下弦の月みたいな形です。
実は、10年ほどまえにネズミに齧られて、こうなりました。かじりとられて残った1頭は、
挿し木で1本立ちになりましたが、削れた部分を補う新たな子吹きはなく、こんな姿のままです。
成長は遅鈍、そのうえ気まぐれで、花も少ししか咲かないことが多いのですが(下の方の写真)、
今年は植え替えたせいか、全頭開花して、なかなか壮観でした。やはり、世間の相場はともかく、
我が家の家宝のひとつではあるなと。




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精巧丸は、メキシコ・サンルイスポトシ州(San Luis Potosi)の州都周辺、標高1800m前後の
石の多い丘陵地で、半ば地中に埋まる様に生えています。
学名のアセリフォルミスは、刺の様子がワラジムシ目の底生動物、ミズムシ(Asellus sp.)を
想起させることから名づけられたもので、そう思って眺めると、ワラジムシがびっしりついているように
見えてきてちょっとコワイ。英名はHatchet cactus で、こちらは刺座を斧に見立てています。




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                15years from seed. very slow growing




どのくらい成長が遅いかというと、ネズミの食害もありましたが、25年かけても、株径で1.5倍くらいに
なったかどうかです。でも、種から育てるとさら気が遠くなる。
交配しても、なぜかなかなか種がつかないのですが、同時期に入手したもうひと株と並べているので、
たまに結実しています。で、株元に自然に発芽してきたのが上の写真の2本。
親株の根元で放置されていたとはいえ、これでも発芽して6、7年経っています。接ぎ木しないで大群生に
育てるのは、私にはムリそう。




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成長は遅いですが、あまり気をつかわなくてもよい丈夫な植物です。ごく普通のサボテン用土に植えて、
春から秋には、2週に一度程度水をやり、冬は断水して、氷点下5度くらいの低温に堪えてもらう。
弱点と言えば、アカダニに肌が汚されやすいので、来たなと思ったら殺虫剤を蒔くくらいかな。
この先、なかなか手に入れる機会もない植物だと思うので、この先も大きくしようなどとは思わず、
のんびり日光浴をさせながら、つきあっていこうと思います。












脱帽。

         
我が家の一点モノ、きょうは番外編?です。



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                    Melocactus bahiensis ssp.bahiensis about 20years from seed



メロカクタス・涼雲(Melocactus bahiensis ssp.bahiensis )の古株。ハウスの棚の真ん中に
所在なげに置かれているのは、このあたりがいちばん温度が保たれるからです。
メロのなかでは寒さに強い部類ですが、かれこれ20年ちかく育てている株なので、大事にされているという訳。

でも、ここだと絵にならないから、外に連れ出してみました。



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花座がここまでデカいと、なかなか貫禄があります。
メロは最近あまり人気がありませんが、一年中カラフルな花座を眺めることが出来るのは捨てがたい魅力。
この涼雲は、もともと30年以上前に、某Y園から購入した輸入株らしき苗がルーツです。
すでに物故したその株に稔った種を実生して育てたものです。メロゆえに自家受粉で、雑種ではないと思いますが、
そもそも元親には産地データはおろか学名もついておらず、ただ「涼雲」と記された札だけが立っていました。
念のため検索してみると、bahiensis はおおむねこの株と似たような顔をしていますね。

この株、花座が出始めたのはすでに十数年まえのことで、いわゆる“トルコ帽”状に大きく高く伸びてきた。
しかし、2-3年前からは途中にくびれが生じ、腰折れというか、段が出来てしまいました。
でも、それもまた古株の風情、などと思っていたわけです。ところが、ハウスから運び出してしげしげ眺めると、
ある異変に気がつきました。

花座の上部だけが、グラグラと揺れているではないか! 

ん?まてよ。



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衝撃の事実でした。
なんと、花座の上半分は、ただ乗っかっているだけ、だったのです。
で、ポッコリと上半分を外してみると、かつてと同じ、くびれのない花座の姿に戻りました。
現れた新しい花座には、ちゃんと上面があり、ここから花が咲き実もなるようです。
で、外した上半分はなんつうか、赤い座布団?饅頭?テニスボール?
裏面は巾着を裏返したみたいな様子で、こちらもかつて下半分と繋がっていた名残りとか、
切断面ふうの痕跡などはない。実に不思議です。



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地べたに転がせば、赤いテニスボールかなにかのようで、どう考えてサボテンの一部には見えません。
手に持った感じもテニスボール風ですが、もっと軽い。花座はそこから出雷開花、結実するわけで、
ただの綿毛の塊ではないはず・・・ですが、この上半分については、綿毛の塊にしか見えません。
一方で、これだけを鉢に置いてみたりなんかすると、赤刺が密生したマミラリアみたいにも思えてきます。
いつから分離独立したのか不明ですが、まったく色も褪せていないので、これはこれで綺麗です。
本当は、切断して中の構造が見てみたいとも思うのですが、なんだか勿体なくて、結局元どおりに
二段重ねにしてハウスに戻すことに・・・。



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こうしたことが、メロカクタスではしばしば起こるのか?調べてみても類例が見つかりませんでしたが、
花座が子吹きしたり、分頭したりするのは時折り目にします。しかし、こんなやり口もあったとは。
まさに脱帽の技でした。





我が家の一点モノ③菊水


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                 Strombocactus disciformis  imported more than 30 years ago


菊水(Strombocactus disciformis)です。もう30年あまり我が家で過ごしている、古い古い原産地球。
まだ少年だった私が、逗子の高台にあった平尾博さんの「シャボテン社」を訪ねたおりに求めたものです。
「シャボテン社」からは、それ以前にも通信販売で何度か植物を購入していましたが、実際に圃場を訪ねたのは
この時が初めてでした。急な階段をのぼり、蒸し暑い夏のガラス温室(当時はビニルハウスはまだ主流では
ありませんでした)に入りました。「ゆっくり見て行って下さい」と言われて、何だかかえって緊張したのを覚えています。
そこには鮮やかな刺、立派な球体の輸入シャボテンがずらり並んでいて、目に飛び込んでくる植物すべてが
キラキラ輝いて見えました。その中で、どうしてこれを選んだのか。ほかにどんな種類を求めたのか・・・。
ともかく、この日連れ帰った植物で今も手元に残っているのはこの菊水だけです。丈夫なんですね。



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硬く、乾いた風貌。頑丈でもの静かな植物です。
生成りのハンカチみたいな色の花が毎年たくさん咲きます。ゆっくりではありますが、初夏の頃には新刺をあげて
成長もします。来たときは学名どおり円盤のよう平べったく、実に端正な姿でした。将来、見事な大球になるかな、
それとも綴化するかな、と期待しましたが、30年を経てその大きさはほとんど変わりません。
かわりに高さが少し伸びました。正確に言うと、新しく育った分だけ、過去の成長部分が球体の下の方に
たくし込まれるような具合になって、僅かずつ高さが増して、きのこのような不思議な形になりました。



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                    Plant on the right is grown from seed IMG_8061S.jpg



隣にならべたもうひとつの菊水は、先のシャボテン社菊水から20年ほど遅れてやって来た実生の株です。
ちょうど花が咲いていたので撮ってみました。古い方の株も、ほぼ同じ花を咲かせます。両者のタイプは極く近い。
後から来た株は最初3cmくらいしかありませんでしたが、扁平なまま毎年直径を増やし今では追い抜いた様子です。
してみると、古いキノコ型菊水の径がまるで増えないのは、育て方というよりこの個体の個性なんでしょうね。
年月を重ねたぶんだけ、貫禄を増すサボテンばかりではないのですが、このキノコ菊水には、扁平でハンサムな
後輩を寄せ付けない風格がある気がするのは、私の思い込みでしょうか。



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                      3 years old seedling of S.disciformis


この菊水、インターネットで調べれば自生地の写真がたくさん出てきますが、メキシコ・イタルゴ州などの、
粘土の崖みたいな場所にへばりつくように生えています。硬質で乾いた外見とは裏腹に意外に水は好きです。
ただし、扁平さを維持するには強い光線と乾き気味の栽培が必要。
特筆すべきは粉末のように微細な種子で、それゆえ昔は実生が不可能みたいに言われており、私も長年にわたり
種が出来ても放置していました。ようやっと実生にチャレンジしたのが数年前のことです。
ピートモスと微粒赤玉(芝目土)の混合用土に播種し、水を切らさないように数年間辛抱します。
写真の実生苗はまだ4-5mm程度しかありませんが、実生3年目の今年ようやく植え替えサイズに達しました。



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こちらはその同じ実生苗をキリンウチワに接いでみたもの。上手な人は播種数ヶ月の1-2mmの苗を接ぐそうですが、
私の技量では3年経ってようやくです。でも、それから数ヶ月で開花しました。これはこれでかわいらしい。
菊水と良く似た環境に生える花籠(Aztekium ritteri)や南米の松露玉(Blossfeldia liliputana)なども
同様な微細種子ですが、いずれも自生地の崖面にうまいことくっつくのに適しているのでしょう。
細かい土に蒔き、しばらく辛抱、それから実生接ぎ、というやり方なら誰でも種からの栽培が楽しめそうです。



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                  S.disciformis ssp. esperanza × Turbinicarpus alonsoi


長らく一属一種だった菊水ですが、最近になって赤花菊水(S.disciformis ssp. esperanza)が記載されました。
これは大きくなりにくい性質があるようですが、姿は菊水そのもので、濃いピンク色の花を咲かせます。
同じ場所にツルビニカクタスのアロンソイ(Turbinicarpus alonsoi)が生えており、よく似た花です。
ちなみにこの2種は容易に交雑可能で、その種子からは見かけ上ほぼ赤花菊水に見える株が育ちます。
上の写真がその交配種で、さる名人からの頂き物。肌に微妙なシワが入るところ以外、目立った違いはありません。
ほかにも、最近の自生地探訪者が、刺の長いタイプや小型のタイプなど、産地ごとに色々な名前をつけて
流通させていますが、赤花菊水ほど顕著な違いがあるわけではなさそうです。
ともあれ、我が家の菊水は、ある意味かわりばえしない、いちばん古典的なタイプだと思います。



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30年前といえば、ずいぶんな昔。いったい自分は日々何を考え、どんな目つきで世間を見回して暮らしていたのか。
あの頃、一緒にいた人や眺めていた風景は、遠い彼方へと過ぎ去って朧ろな記憶の片らが残るばかりです。
変わらない姿のこの菊水には、たぶん全然違うペースで時が流れていたんでしょう。この先さらに30年が過ぎても、
やっぱり大きくもならず、立派にもならず、春がくれば地味な花をほっこり咲かせるだけなのかな。




テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

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沙漠植物、栽培、探究。

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