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一点モノ⑧黒牡丹群生


 長いつきあいの黒牡丹です。
 その昔、世の中がバブル景気に浮かれていたころ、サボテン界も高級種を中心に投機的な盛り上がりを見せていました。その中心になっていたグループのひとつが、牡丹類、アリオカルプスです。日本の業者がメキシコから大量の山木を輸入し、選抜された疣の大きいもの、変わった特質を持つものは百万円を超えたこともあったと思います。ちょっと、いまのマダガスカル植物をめぐる状況と似ていますね。
 当時、私はまだ中高生で、当然何万円もする玉牡丹や象牙牡丹、連山などは手が出ません。ですが、黒牡丹、姫牡丹はタイプ差があまりないこともあって割安でした。この株も当時5cmくらいの株でしたが、数千円だった。ずらりと輸入球が並んだ当時の通販カタログ(当然、紙に刷ったもの)のなかで、数少ない手が届く宝物でした。それが、この株です。




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     Ariocarpus kotschoubeyanus 'elephantidens' old imported specimen 
 


 たぶん、四半世紀くらい育てていると思います。いつのまにか、子だくさんの群生株になりました。黒や姫は、その後も少しずつ買い足していったので、いちばん多い時で山木が10本くらいありました。だいぶ自生地を荒らしてしまったことになります。せめて大事に育てて、種もとって絶やさないようにと心がけてきましたが、それでも少しつずつ減って、今は黒牡丹の山木は3本しか残っていない。やはり、長く育てていると次第に活性が衰え、花数も減ってきます。この株と同じ頃買った最古参のもう1本は、立派な綴化になりましたが、5年ほど前に枯れました。天授を全うしたように見えました。そしてこの株もいちどは肌が茶色くなって、もうダメかと思いましたが、根部を大きくカットして再発根させたら元気が出てきた。ちょっと冒険だったけど、やはり根の再生は大事ですね。




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 実は、ここ数年、うちでは数多くのアリオカルプスがダメになっています。もちろん大半は種から育てたもので、開花株まで順調に育ってきたもの。原因は、秋の長雨です。とくに、私の自宅から離れた栽培場は、もとが田んぼなので湿度がもともと高い。アリオカルプスは秋咲きですが、咲いたあと萎れた花が、晴れていれば干し固められるのですが、雨ふりが続くと腐ったりカビたりして、そこから成長点が冒されて、数日で腐ってしまうのです。萎れた花をドライヤーで乾かしでもするほか、防ぐ手だてが思いつきません。なので、この黒牡丹は、東京の乾いた温室に避難させていました。特別待遇の甲斐あってか、この秋もたくさん花を咲かせて、そのまま静かに休眠に入りそうです。




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(追記)
 ところで、5年ぶりか、もっとそれ以上になるかも知れませんが、ヤフオクへの出品を再開する予定です。家族からの、「植物がこれ以上増えると、人のいる場所がなくなる!」との声に、それでも増やすことがやめられないので、減らす姿勢も示さざるをえなくなりました。。自分で種から育てた植物は全部手元に置きたい派ではありますが、「(泣く泣く)手放す」ことを決意した次第。順調にいけば、初手は冬型の多肉植物を1ダースほど、今週半ばより出品する予定です。
オークション名、URLは、そのときにこちらにも記載します。

→12/5出品開始しました。
出品IDはsoteyashi   以下のURLからよろしくお願いします。
https://auctions.yahoo.co.jp/seller/soteyashi


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テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

一点モノ⑦白ランポー玉(白鸞鳳玉)

             
白鸞鳳玉(Astrophytum coahuilense)、といわれてもピンと来ない人も多いかも知れません。
ランポー玉(Astrophytum myriostigma)と、どこが違うの?と言う声も聞こえてきそうです。同じ5稜の星形シェイプ、肌を覆う白い星点、確かに一見、同じ植物にも見えます。
でも、白ランポーは、ランポーとは実はかなり異なる特徴を持つ植物なのです。




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          Astrophytum coahuilense ex.habitat plant imported 30years ago.



写真の植物は、私が中学生の時に手に入れた、古い古い原産地球です。球形が15cmくらい、高さは40cm近くあります。
手に入れたときは、球径と高さが同じくらい、グレープフルーツくらいの大きさの山木でした。
当時から育てている植物のうち、今も手元に残っているものは多くありません。
この白ランポーが私の温室でいまも特等席におさまっているのは、手に入れたときの思い入れもさることながら、その後も大切にせずにはいられない魅力を放っているからです。




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          flowers are yellow with a characteristic orange to red throat
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          white flecks that cover the plant are very thick



まずは、このフォルムです。ランポー類は数多く育てて来ましたが、私の感性には、この株が一番美しい。たおやかで、豊満な印象を与える絶妙の曲線。上からこの見たシルエットは、栽培30年間、変わりません。稜線は分厚くアレオーレも大きい。これがずっしりした重量感を醸し出しています。
そして、白鸞鳳のレゾンデートルとも言える星白点は、フェルトのように分厚く、年月を経ても脱落せず、ランポー玉の白点とは、まったく違います。白さの質は違うけれど、コピアポア黒王丸と比べたくなる、骨のような白さです。花が咲いていなかったら、生きている植物には見えないくらい。
そして、ランポー玉とのもうひとつの違いが花の特徴です。ランポーの花がすべて黄色なのに対し、白ランポーは濃淡の幅はあるものの、花底の部分がオレンジまたは赤色に染まります。この株は色は薄い方ですが、底部はオレンジです。




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          Astrophytum coahuilense 10 years from seed
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          left:Astrophytum myriostigma  right:Astrophytum coahuilense



ここでちょっとややこしい話をすると、白ランポー玉とランポー玉は、外形的特徴の近似性から、同一種とする見解、文献も存在します。上の写真、3つ写っているのは、すべて白ランポー玉です。その下の2つ写っている写真、左側はふつうのランポー玉です。違いがわかりますか?
実は古くから園芸家はこの二つが異なる植物だと実感してきました。というのも、兜やランポー、瑞鳳玉、そしてこの白ランポー等を含むアストロフィツム属=有星類(Astrophytum)では、それぞれを掛け合わせて、様々な種間交配種が作られて来ましたが、その際に、瑞鳳玉(A.capricorne)×兜(A.asterias)、白ランポー玉×兜が容易に結実するのに対して、ランポー×兜、般若(A.ornatum)×兜、という組み合わせは、なかなか結実しないのです。このため、瑞鳳兜、白ラン兜はよくあるのに、般若兜、ランポー兜はまず見かけません。
当然、ランポー×白ランポーも、純種同士はなかなか結実しません。最近の、分子系統学的見地からの研究の中でも、アストロフィツム属を<兜・瑞鳳玉・白ランポー>と<ランポー・般若>の2群に分ける見解が示されていて、上述の園芸家の経験知と一致しています。前者のグループは底紅の花を咲かせ、後者は単純な黄色花を咲かせます。この見解に則れば、白ランポー玉は視覚的に似ているランポー玉よりも、兜の方により近いということになります。白ランポーはランポーの白点の多いタイプではなく、実は別種ということですね。




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さて、この白ランポー玉ですが、日本のサボテン界ではある時期まではランポーの高級品種的に扱われ、わりと珍重されていました。一方で変異に乏しく、ランポーのように様々な園芸改良種を生み出す母体にはなりにくくかった。
また、成長速度が遅く、栽培も少し難しいので、次第に栽培家の棚からは姿を消していきました。
最近は、かかりにくいランポーとの交配からの戻しなども進んで、白ランポーをベースにした園芸サボテンも作出されているようですが、原種はあまり見かけません。
私がこの株を入手した当時でも、実生育成の白ランポーは数が少なく、売っているのは輸入株が多かったと思います。当時の山木もふくめて、オリジナルの白ランポーを育てている人がいまどれだけいるでしょうか。




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ともあれ、この端整なフォルムと、サボテン界で他にないフェルトの肌。観賞植物としても、最新の園芸種に勝るとも劣らない存在感があります。しかもこの風格は、原野で生きていきた野生植物そのもの。
私のもとに来てからも、30年を生き抜いて、今も毎年多くの花を咲かせています。まさに人生の同伴者と言える植物です。









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ジャンル : 趣味・実用

一点モノ⑥マミ・ラシアカンサ

    
久しぶりに、我が家のお宝植物です。
といっても、市場価値とはまったくリンクしませんが。。




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               Mammillaria lasiacantha SB414 Brewster Co,TX 20yrs from seed




マミ・ラシアカンサ(Mammillaria lasiacantha SB414 Brewster Co,TX =姫玉)。
種類が多すぎて、集める人がほとんどいなくなったマミラリアですが、
やわらかい白刺が密生する、いわゆる「白マミ」はいまも人気種の部類でしょう。
白鳥(Mammillaria herrerae)や春星(Mammillaria humboldtii)などは
大きく群生させると見ごたえがあり、品評会の常連みたいな時期もありました。
この種は、白マミのなかでは輸入株があまり導入されなかったこともあって、
マイナーな種類ですが、人が作ってないものを育てたくて、種を蒔いたもの。
それから20年くらい経って、いい具合の群生株になりました。
これまた、頭をはねて人工的に群生を作るのが好きではないので、たまさかの
自然群生株です。




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ラシアカンサの刺はツイードの上着みたいな、ちょっとガサガサした風合いですが、
触っても痛くありません。ほんのりピンクがかっていて、ちょっと人工物みたいな
白鳥などとは違い、利かん気な野生植物っぽさが表に出ています。
はちまきのように咲く花は、淡いベージュにマゼンタのストライプが入り、
キャンディーのような甘い雰囲気を漂わせます。ソメイヨシノよりも少し早く咲いて、
ハウスに本格的な春を連れてくる花ですね。




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            Mammillaria lasiacantha in habitat, Big Bend NP Brewster Co,TX               



アメリカ西部からメキシコにかけて広い範囲に分布するサボテンで、産地で
顔違いもいろいろあるようですが、このクローン、SB414は、米テキサス州の
ブリュースター郡産です。上の写真は、いぜん、同じエリアのビッグベンド公園を
訪ねたときに写した野生株で、刺の感じがよくにています。ただ自生地では
こんな大きな群生株はなく、せいぜいピンポン玉くらいのサイズでした。




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栽培はマミラリアのなかでは気をつかう方で、過湿で根腐れしたり、花殻から
傷みが入って倒れることもあるようです。うちにも数株あったのですが、
少しずつへって、この株だけになってしまいました。
今年もまもなく花を咲かせ、足踏みしている春を呼び込んでくれるはずです。










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ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。著書:
「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」
(日本文芸社)
「多肉植物サボテン語辞典」
(主婦の友社)

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