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未来のスター植物


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   Tephrocactus alexanderi 'geometricus' JN518



 昨今、ウチワサボテン類(Opuntia)の中で、別格扱いのスターにのぼりつめたのが、テフロカクタス・ゲオメトリクス(Tephrocactus alexanderi 'geometricus')です。それに引っ張られる形で、オプンチア全般への関心も高まっていますが、きょうはまだあまり知られてない未来のスター候補の植物を二種、紹介します。ゲオメトリクスの栽培にも参考になるので、ぜひご一読を。




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   Maihueniopsis ovata  CJH147



 マイウエニオプシス・オヴァータ(Maihueniopsis ovata)。なんといっても、この黄金の盃のような、完璧なカップ型の花が素晴らしい。多数の花弁が重なりあって、このフォルムが生まれます。色も、どこか蔭を宿した深みのある黄色です。植物本体は、小指~親指サイズの丸っこい茎節からなる、おなじみの南米ウチワスタイルです。そんなこともあって、テフロカクタスと混同されることもありますが、テフロがいわゆるウチワサボテンのように茎節を縦に重ねて上へ伸びていくのに対し、マイウエニオプシスは小さな茎節を密なクッション状に群生させます。また、地中に太い直根を伸ばすことも特徴です。栽培でも、暑い季節にざんざん水をかければ元気に育つテフロとは違って、酷暑期に太い根が傷みやすいので、灌水は3月~5月、夏は休んで、秋に数回、という管理をしています。
 オヴァータは丸い茎節を重ねて、径20cmくらいの小マウンド状に育つ種で、アルゼンチンからチリにかけてのアンデス山麓の比較的標高の高い場所に分布します。やはり根が太く長いので、栽培ではやや深めの鉢が必要になります。このクローンは、コンパクトに育ち、刺がなく(芒刺=Glochidはある)かわいらしいタイプで、特に大きく豪華な花を咲かせます。いってみれは選抜良タイプですが、ヨーロッパではオプンチア類の育種や選抜をする愛好家がけっこうな数でいて、専門業者もあります。この苗は「Tephrocactus and other prickly pears」の著者で専門園 Chiemgau-kaktus のオーナーでもあるMichael Kiessling氏に送ってもらったもので、特別大事に育てているもののひとつです。




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   Cumulopuntia rossiana (red flower form)

 

 こちらもマウンド状に育つ南米オプンチアで、ちょっとテフロのボニアエに似ていますが、クムロプンチア(Cumulopuntia)という別属になります。クムロプンチアは、果実や種子、また刺座の配置などで他属と区別されますが、栽培者目線ではとても特徴のつかみにくいグループです。分類上も様々な種がここに放り込まれたり、また取り出されたりしています。なかで、このロッシアナ(Cumulopuntia rossiana)は、丸い茎節を集めてクッション状に育ち、花も美しいので、栽培植物としてはとても優れたもの。花色は黄、オレンジ、赤と幅がありますが、この株は鮮やかな赤花。やはり、ドイツのMichael Kiessling氏による選抜苗です。
 ボリビアの高地原産で、こちらも根は太く塊根状になります。成長は遅いですが、オプンチアのよいところで、子を外せば簡単に発根するので、これから殖やしていきたい植物のひとつ。テフロカクタスもそうですが、花を咲かせるにはコツがあって、春、あまり早いうちから水やりをすると、花芽が茎節にかわってしまうので咲かなくなります。4~5月、あたらしい芽が蕾らしい形になってきてから、たっぷり水をやると、うまく咲かせることが出来ます。もちろん、例外的な種もあるので、ざっくりとした話ですが。




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 ということで、未来のスター候補として、南米ウチワ2種を紹介しましたが、この先人気が出るかな。といっても、音楽でも小説でも、私が好きなものが大ヒットしたことはあまりないので、まあマニアックな人気が出ればよしとしましょう。







テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

夏休みバンザイ!

   
遅ればせながら数日の夏休みをとることができました!
今年は遠出できない事情があって、近場の海か山に出かけることにしました。
8月のど真ん中は雨続きだったので、時期外れでかえってラッキーだったかも。




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             Opuntia rubescens as 'Banzai cactus' looks like miniature of Carnegiea gigantea



写真は、私が長年アイコンにしている弁慶注風に仕立てられたオプンチアです。
近くのガーデンセンターでみつけて、思わず買ってしまいました。
おそらくは墨烏帽子(Opuntia rubescens)だと思われますが、すべてこの樹形に
仕立てられて、バンザイサボテンと札が立っていました。

墨烏帽子はかつてはコンソレア属に分類され、墨烏帽子にもConsolea guanicana
という異学名があります。プエルトリコやバージン諸島の原産なので、寒さには
あまり強くないと思われます。オレンジ~黄色の花をぜひ咲かせてみたいところ。
この個体は中刺側刺は欠落し芒刺もほとんどない。園芸的に選抜されたものか。

というわけで、ふつうなら観葉植物として消費されるはずのバンザイサボテンも、
うちに来たからには、このさき、長いことつきあってもらうことになりそうです。






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オプ花 2014。


目下人気爆発!のウチワサボテン、今年の開花から。
兜やボタン、斑入りサボテンそっちのけで、愛好会の競りを席巻する日も近いでしょう。

まずはトゲも思い切り痛くて、愛らしさ抜群のこのしゃもじです。




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                    Opuntia polyacantha ssp.hystricina hybrid 'Halblech'



オプンチア・ハルブレヒ(Opuntia polyacantha ssp.hystricina hybrid 'Halblech')。
花が咲いていなければ枯草のかたまりにしか見えないようなオプンチアですが、こちらは園芸改良種。
名前はドイツ、バイエルンにある地名と思われ、このあたりの愛好家が作出したのでしょうか。
ドイツにはウチワ愛好家がかなりいるようで、こうした美花園芸種がたくさん作出されています。
原種のポリアカンサは大変広い範囲に分布するウチワで、なかでヒストリチナはアメリカ合衆国の
four corners(アリゾナ、ユタ、コロラド、ニューメキシコの4州が交わる点)周辺に生えているので、
ペディオ・スクレロとは仲良しのサボテンです。




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原種もきれいな花を咲かせているのを何度か見ましたが、こちらは花色がより鮮やかということなんでしょうか。
カット苗を輸入して育成したものですが、茎節3-4枚で開花しましたので、花つきはたいへんよい。
しかし刺の扱いにくさは群を抜いていて、鉢に雑草がはびこっても株元までトゲびっしりで抜くことも出来ません。
耐寒性は底なしなので、ヨーロッパ内陸でロックガーデンなどに植えこむためのサボテンかとも思われます。
それにしても、こんなに痛くて、花はきれいだけどたった一日しか咲かないオプンチアの、
花改良に精を出すヨーロッパ人の園芸マインド、脱帽です。




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                 Opuntia compressa(=humifusa) M1088.58 Chatham, Massachusetts



つづいては、こちらも日本では耐寒性の限度を試すことがおそらくできないサボテン。
這団扇(Opuntia compressa(=humifusa) M1088.58 Chatham, Massachusetts)。
自生地を地図で検索してみてください。東海岸、それもマサチューセッツ州ですよ。
こんなとこにサボテン生えてんか、みたいな。もっと北、モンタナ州あたりまで分布していますね。
但し書きには、in cold wet sand dunes ともあります。北海道のサロマ湖あたりの岸辺に植えても、越冬出来そう。




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和名のとおり、地面に匍匐するように育ちます。もちろん通年屋外栽培ですが、冬場はくしゃくしゃに皺が寄って
色も悪くなるのですが、春、暖かくなると急激に皺が伸びで、ゴムかビニールみたいにピカピカになります。
花は単色ですが、他にちょっとない黄色です。海外のサイトで「蛍光色の花」と紹介されているのを見ましたが、
まさに蛍光ペン(アンダーライン引くやつ)の黄色です。写真ではうまく表現できていないのですが、
ぱっと目を引く不思議な花で、これだけでも見る価値があります。




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                    Opuntia retrospina DJF303 La Vina, Salta 'flame red flowers'




最後は極めて特異な花。
レトロスピナ(Opuntia retrospina DJF303 La Vina, Salta)の名前で、メサガーデンから入手した株です。
この種名は、よりマニアックな分類では、アイランポア属(Airampoa)に振り分けられることもありますが、
一般に知られているこの種の姿とは、茎節やトゲの感じがちょっと違う。それでDJF303で調べてみると
Opuntia sulphureaも出てきます。これもまた、違うか。DJF氏は同じ場所で見つけた違う種類のサボテンに
同じ番号をつけるので多少ややこしい。ギムノ新天地やパロジアにも同じ番号があるけどretrospinaは出てこない。
ちなみに写真の株は花を撮影しようと運んだときに茎節が折れてしまったので、植えなおしたもの。
本来は長細い茎節が7枚くらい縦につながった、高さ50cmくらいのヒョロヒョロの株でした。同定出来る方…。




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いずれにしても、植物体は地味です。問題は花。カタログには‘flame red flowers’と書いてありましたが、
この血流ほとばしるような花のことをそう形容したのでしょうか。サボテンの花で、こうした筋の入ったものを
他に見たことがありません。なので、病的なものにも見えないことはない。
しかし、茎節はつやつや元気で、斑の気配もまったくなし。植物本体にはウイルスの痕跡は見られません。
おそらくは、DJF氏がアルゼンチンの山で茎節を切り取って持ち帰り、友達であるSB氏に渡したものが
オリジナルで、我が家の株はそのカキ仔と思われます。ゆえに、元々こういう花を咲かせていたと考えられます。
見れば見るほど強烈な花で、しかも果実がたくさんついていることでわかるように花つきとても良い。
ちょっと掘り出し物のオプンチアでした。





プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。
著書「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(日本文芸社)」

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