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『多肉植物サボテン語辞典』『The Succulentist』 新刊と新サイト


新刊 「多肉植物サボテン語辞典」


 久しぶりの更新になりました。
先週と、その前の週末と、夏に出る「多肉植物サボテン語辞典」という本の入稿目前でパソコンと睨めっこ。この40年間、無原則に脳髄に詰め込んできた植物についてのあれやこれやを、引き出しをひっくり返すみたいにして総ざらいしてました。




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 それがこの本。表紙を見ても何の本だかわかるようで、わからない。
サボテンや多肉植物を育てる人が、どこかで見たり聞いたりする様々な言葉。植物の名前、栽培上のテクニカルターム、業界のスラングに生物学用語・・・。融通無碍に1200語ばかりが五十音順に並んでいる本です。辞典なんで、言葉選びと語釈(解説内容)がキモなんですが、これは私と、本を企画した石倉さんの合作です。初心者にもわかり、中級者以上も知りたくなる内容を、読み物として面白く、というのがテーマ。と説明しても、なんだかまだわかんないので、手元のゲラの一部をお見せするとこんな感じ。




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 言葉だけじゃなくて、写真もかなり沢山載っています。そもそも、この本は多肉・コーデックス系の専門書として好評を博した「Bplants」と同じシリーズで、これらの本を制作した石倉ヒロユキさんの企画です。石倉さんは植物に限らず様々な書籍を手がけてきた本作りのプロで、実は絵本作家でもあります。彼が国内外で撮り、集めた写真がもうひとつの本の魅力。
 私への依頼は、監修役として、載せる言葉や植物の種類を選定して、解説文のチェックをしてください、というものでした。たしかに、サボタニを端から端まで無差別に育てているし、40年分の植物雑学が活きるなら、ということで、わりと軽い気持ちでお引き受けしたのです。




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 まずはサボテン・多肉園芸の長い歴史で何かしら輝きを放った代表的な植物をリストアップ。つづいて、解説文のチェック。といっても、実際は直すより書いた方が早いので、半分くらいは自分で書くことに。ただ、私の選ぶ種類や用語ばかりだと、初心者にはとっつきにくいし、必ずしもトレンドと一致しないという問題も浮上し、このあたりは結構激しく議論しました(石倉さんごめんなさい)。
 結局、新刊本の編集経験をベースに、石倉さんが最新の人気種などを写真入りで大量追加して、用語の部分でもトレンドワードや#SNSワードなどを多数盛り込んで、しっかり2020年の多肉本らしくアップデートしてくれました。専門性の高いエケベリアやアガベ、ハオルチア等々については、私より詳しいエキスパートの方が担当してくれた部分もあり、このあたりも石倉さんの人脈のなせるわざです。

 その結果が、1200ワード、写真●●枚(いま数えてます!)、となったわけですが、石倉さん曰く、図書館に置いて欲しい真面目な本である一方で、サブカル本の面白さもある本なのだそうです。流行りのアガベはじめ、ハオやエケ、コーデックスなどの人気種グラビア本的な色彩もあります。ともあれ、全体としては”Shabomaniac!的サボタニ観”の押し売りにはなっておらず、異なるアイディアが渾然一体となっている本。初心者から中級者まで、読んで楽しく役に立つ、になっていれば嬉しいな、と思う次第。「多肉植物サボテン語辞典(主婦の友社)」6月30日刊行予定です。




新ウェブページ 「The Succulentist」


 さて、今日もうひとつ紹介したいのが、先週スタートしたばかりのウェブページ「The Succulentist」です。
若き畏友、河野忠賢さんが新たに立ち上げたもので、一見、国内のサイトとは思えない垢ぬけたビジュアルが印象的。扉にはこうあります。「毎回特別に思い入れのある植物をとりあげて、まつわるストーリーやそのバックグラウンドを紹介していこうと思っています。方々を旅して見つけて来た、新しい導入品の紹介や、幻の種、忘れられた銘品など、他では紹介される機会のない本当に貴重な植物に、ひとつ一つ光を当てていく場になればと思います」。




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 この考え方は、私が20世紀の終わりに“Shabomaniac!”の名でサイトを立ち上げたときの思いにも重なり、自分よりふたまわりも若い河野さんが、今、こういう発信を始めたことが、なんだか嬉しかったりもします。もっとも、“Shabomaiac!”が「サボテンきち〇い」だとしたら、“The Succulentist”は「多肉主義者」なので、だいぶ洗練されてますね。ちなみに、私は多肉も好きなサボキチですが、河野さんも、サボテン鑑定眼をもつ多肉師なので、共通するのは雑食性だということ。私はこれだけです、みたいに対象を絞り込むことが出来ない、欲深い植物好きなのです。だから、彼の記事は誰が読んでも面白いと思うし、まだ知らない植物の世界へ、興味と関心を拡げてくれるものになるかと。




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 ちなみに、初回の記事はパキポディウム・エニグマチクムの物語。去年出した本、「珍奇植物」のなかの雑談会でも、彼が熱弁してたパキポの最新最稀少種の物語です。 ぜひ、訪ねてみてください!















テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(新刊)」


 私が監修させていただいた本「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(日本文芸社)」が、5月24日に発売されます。既にアマゾンなどには出ているので、表紙のパキポディウム・光堂をご覧になった方もおられるかと思います。このブログにもたびたび登場している私の実生育成株で、ちょうどいまは春の休眠期で葉はありませんが、結実して種鞘を伸ばしているところ。




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   My new book ”Life with Bizarre plants”
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   Pachypodium namaquanum appears on the cover of book , now with fruits



 同じパキポディウムでも、グラキリウスなどのマダガスカル軍団は、長い花茎を立ち上げてレモンイエローや赤、白の花を咲かせていて、一年に数日だけ植木鉢のまわりにイサロあたりの風がそよぐ季節です。サボテンはじめ珍奇植物界隈では、わりと花を軽視する傾向がありますが、私はやっぱり、植物は花どきが一番いい顔になると思います。開花結実は、植物にとって存在目的そのものともいえる大イベント。花じたいが綺麗なのももちろんですが、その季節はだいたい、幹も枝も葉も瑞々しく充実して生気に溢れていますよね。




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   Pachypodium rosulatum var. gracilius
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   Pachypodium succulentum



 「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」でも、なるべく多くの開花写真を盛り込むようにしました。植物を正式に種として記載する際にも、花の特徴は大きなウェイトを占めますし、しっかり作られた図鑑は植物本体だけでなく、開花写真や花の写真を一緒に掲載しているものが多い。ところが、昨今の多肉ブームのなかでは、その感覚があまり共有されていないと感じることが多々あります。類書の近刊でも花の写真が多いものは少ない。
 その理由は、栽培家のマインドもそうですが、本作りの現場にもあるようです。一般に本を作る人たちは、腕の立つカメラマンを栽培場に送りこめば一気に色々な植物の写真が撮れると思うみたいですが、植物はファッションとかスイーツとは違って生き物です。いくら綺麗に照明をあてても、植物がベストの状態でなければ良い写真にはならない。肌つやも美しく、刺を伸ばして成長していて、しかも開花しているサボテンを撮ろうと思ったら、チャンスは年に数日です。サボテンも多肉も、多くは年に数日から数週間しか咲いていませんからね。しかも、時期は種によってまちまちなので、撮影はなかなかホネが折れます。
 今回、私の栽培場にも腕利きのプロカメラマンが来て、開花写真も含めて、そのとき撮れるベストなショットを沢山撮ってくれました。表紙の光堂の素晴らしい写真もそのひとつ。これは私には撮れない。一方で、プロではない私が撮った写真も結構載っています。被写体の植物と何年も暮らし、長い時間のなかで一番綺麗な瞬間・・・瑞々しく成長し、美しく花開いたときに撮影した写真です。その結果、最近のサボテン・多肉本のなかでは、花がかなり多いと思います。私にとっては長年撮りためてきた財産ですが、多くの人に植物の魅力を知って貰うために、選り抜きのショットを並べてました。あ、でも下の写真は本に載っているものではありません。これは今週末に撮ったサボ花です^^;。




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   Pelecyphora aselliformis
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   Notocactus uebelmannianus WG224 (yellow flower form)



 さて、今回の本は、もともとは友人でもあるTOKYの藤原さんの声がけがあって、共同監修の形で作ったのですが、私自身は、サボテン、メセン、アガベにアロエに球根、コーデックス等、大半に執筆も含めてコミットしました。一方で、サンスやブロメリア、ランや食虫など幾つかのカテゴリーは、その道に強い人に委ねました。藤原さんや編集サイドからは、私が関わったことで想定以上にマニアックな本になったと言われました。まあ、自らマニアックを名乗るような奇人仙人と組んだのだから仕方ありませんね(笑)。
 本の内容ですが、ビザールプランツという大きな括りで、食虫にラン、シダや雨林植物まで取り込みました。その結果、ひとつひとつのグループで紹介している種の数は決して多くはない。でも、各属各種の掘り下げ方は鋭角です。マニアックだけれど、専門書ではないという本になりました。読んでほしいのは、植物をはじめて間もない人、あるいはベテランであっても、育てる植物の幅を広げてみたい人。幅広いジャンルにたくさんのドアを並べてあるので、読者の方は、色んなドアを開けて新しい出会いを探してみて下さい。そしてこれは面白いと思ったら、その先は皆さん各々で深堀り、深入りでしみてください。どのドアも危険なプランツマニアへのお誘いになっていますので要注意。
 



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 各グループには、代表種だけではなく、珍種新種や、単に私が凄く好きだという理由で選んだ植物も入っています。そして、ひとつひとつの種のキャプションには文字数の許す限り色々なことを書きこみました。発見の経緯、自生地の環境、見どころや栽培のポイント…ひとつの種だけでも、下手をすれば一冊の本が書けるくらいの物語があったりするのです。それぞれの種について、出来るだけ深いストーリーを共有してもらえたらと思います。この作業は、植物ライターの辻幸治さんの力に依るところが大きいです。多くの項目で、種記載の基本情報などは辻さんがまとめてくれて、そこに栽培者目線、マニア目線で私が加筆するという形で進めました。
 一方で、いわゆる「珍奇植物の栽培方法」みたいな項目はやめました。サボテン科ひとつとっても、属や種ごとに育て方はぜんぜん違う。珍奇植物全般の育て方なんてそもそも存在しないし、あるとすれば、植物を愛して、徹底的に観察しよう、種からつきあってみよう、それくらいです。巻末では、わりと尖った発信をSNSで続けている若手の栽培家の方と座談会をしました。これも、タブーなしで言いたいことを言おう、ということで、多少のフリクションも織り込み済みでトーク。これは反骨の園芸家、藤原さん、そして植物愛に満ちた編集者の牧野さんの心意気があってこそ実現した企画だと思います。 ・・・とまあ、今回の本作りは実に楽しかった。だから読む人にも楽しんでもらえるのではないかなと。




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 そんなわけで、今回は宣伝文句がちょっと過多になってしまいましたが、一所懸命やったので、どうも口数が多くなってしまう。なにとぞご容赦を。そして、花の写真もたくさん載せて、ぎっしりキャプションを書きこんでも、それでもまだまだ、紹介しきれない植物、ストーリーがたくさんあります。40年植物とつきあっている僕でも、まだまだ新しい出会いには胸が躍るし、インスタにあげたりブログに書いたり、そして本にも載せたい植物は尽きることがありません。なぜなら、今日も明日も花は咲くし、私はカメラを構えて彼らを撮りまくる。そして今年もまた、まだ知らない植物たちの種を蒔くからです。機会があればまた是非面白い本を作りたいと思います。
 












テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

野生種にこだわったサボテンの本。


 すっかり春です。園芸家にとっては朝から晩まで温室で過ごしたい季節ですが、監修役を引き受けた植物の本の仕事で、原稿書きにゲラチェックと、やることが山積み。温室作業よりパソコンにかじりついている時間が長くなっています。ほとんどのサボ・多肉たちには、この春まだ2回しか水やりをしていません。しかし、主のそんな態度にもかかわらず、植物たちは新刺をあげ、花を咲かせ、春を謳歌しているようです。サボテンや多肉植物の多くは、根が健全ならば一度の灌水でしっかり吸水し、活発に動き出します。




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   Parodia uebelmannianus WG166 Corredor Collares, Rio Grande do Sul, Brazil
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   Echinocereus viridiflorus M282.03 Kansas, USA
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   Echinomastus laui SB525 Salinas,SLP,Mexico



 私が関わっている本とは別に、今月発売されたサボテンの専門書があります。「カクタスハンドブック 原種サボテンを楽しむ(双葉社)」という本で、著者の山本規詔さんとは以前から色々やりとりをさせて戴いていて、今回も本を送っていただきました。プロの園芸家として植物園などの植栽を手掛けたり、球根のネリネ(ダイヤモンドリリー)をはじめ様々な植物の育種も手がけている方です。一方で、子ども時代からの熱心なサボテンマニアとして、あらゆるカテゴリーのサボテンを種子から育成しています。これまで、一緒に種を輸入したり、あるいは戴いたり交換したりといった交流があって、私のところにも山本さん印の貴重な素晴らしい植物がいくつもあります。ちなみに、1枚目の写真のスミレ丸(Parodia uebelmannianus)は、普及品といわれるけど、どうしてもフィールドナンバーのついた産地のわかる苗が欲しいよね、という点で一致して(こんな感性を共有できる人、ほかに知りません)、一緒に種を輸入したものです。その彼が書く本ということで、開く前から期待大でした。




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   new cactus book 'CACTUS HANDBOOK' by Noriaki Yamamoto, my friend.



 その名のとおり原種サボテンの美しい図鑑です。帯には“原産地にこだわった野生サボテン300種”とあって、こうした本は他にないので貴重です。平成以降の日本でサボテン園芸といえば、兜やランポー玉、牡丹類に斑入りギムノと、園芸的に選抜された特定の種を集めるのが主流になりましたが、その網に漏れた様々なサボテンたちが、ここではしっかり紹介されています。実際、私が子どもの頃には、多種多様なサボテンや多肉植物が輸入されていて、愛好家にもとにかく色んな種類を集める、というタイプの人が結構いました。そういう人の栽培場は、おもちゃ箱のように多彩な植物が詰め込まれていて、整然と同じ種類が並ぶ昨今のサボテンハウスとは趣きがまるで異なるパラダイスでした。この本には、そういう目がクラクラするような魅力がたくさん詰まっています。




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 山本さんの許可を頂いて、本の中身を少しだけ紹介しちゃいます。たとえば人気のコピアポア。5ページにわたって14種が写真つきで紹介されています。黒王丸のほかにもこんなに色々魅力的な種があること、皆さんは知っていますか。もうひとつ凄いなと思うのは、掲載されているおそらく全ての株が、このコピアポアを含め種子から育成された標本であること。その大半が山本さんの卓越した栽培技術によるものと推察されます。もちろん、いわゆる人気種だけでなく、あまり知られていない柱サボテン、ウチワサボテンなどにもしっかりページが割かれていて、多くの人にとって“新しい出会い”がたくさん詰まっている本だと思います。


 ちなみに、私がかかわっている方の本、「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(日本文芸社)」は、連休明け頃に刊行される見通しです。なんというか、私の雑食性が反映されていて、サボテンや多肉はもちろんですが、それ以外の面白い植物も、何でもかんでも盛り込んだ本になっています。当然、各カテゴリーから取り上げる種数は必ずしも多くないのですが、セレクションはある意味偏っているし、キャプションも超マニアック、みたいな感じになりそうです。こちらもぜひお楽しみに。









 

テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。
著書「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(日本文芸社)」

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