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「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(新刊)」


 私が監修させていただいた本「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(日本文芸社)」が、5月24日に発売されます。既にアマゾンなどには出ているので、表紙のパキポディウム・光堂をご覧になった方もおられるかと思います。このブログにもたびたび登場している私の実生育成株で、ちょうどいまは春の休眠期で葉はありませんが、結実して種鞘を伸ばしているところ。




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   My new book ”Life with Bizarre plants”
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   Pachypodium namaquanum appears on the cover of book , now with fruits



 同じパキポディウムでも、グラキリウスなどのマダガスカル軍団は、長い花茎を立ち上げてレモンイエローや赤、白の花を咲かせていて、一年に数日だけ植木鉢のまわりにイサロあたりの風がそよぐ季節です。サボテンはじめ珍奇植物界隈では、わりと花を軽視する傾向がありますが、私はやっぱり、植物は花どきが一番いい顔になると思います。開花結実は、植物にとって存在目的そのものともいえる大イベント。花じたいが綺麗なのももちろんですが、その季節はだいたい、幹も枝も葉も瑞々しく充実して生気に溢れていますよね。




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   Pachypodium rosulatum var. gracilius
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   Pachypodium succulentum



 「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」でも、なるべく多くの開花写真を盛り込むようにしました。植物を正式に種として記載する際にも、花の特徴は大きなウェイトを占めますし、しっかり作られた図鑑は植物本体だけでなく、開花写真や花の写真を一緒に掲載しているものが多い。ところが、昨今の多肉ブームのなかでは、その感覚があまり共有されていないと感じることが多々あります。類書の近刊でも花の写真が多いものは少ない。
 その理由は、栽培家のマインドもそうですが、本作りの現場にもあるようです。一般に本を作る人たちは、腕の立つカメラマンを栽培場に送りこめば一気に色々な植物の写真が撮れると思うみたいですが、植物はファッションとかスイーツとは違って生き物です。いくら綺麗に照明をあてても、植物がベストの状態でなければ良い写真にはならない。肌つやも美しく、刺を伸ばして成長していて、しかも開花しているサボテンを撮ろうと思ったら、チャンスは年に数日です。サボテンも多肉も、多くは年に数日から数週間しか咲いていませんからね。しかも、時期は種によってまちまちなので、撮影はなかなかホネが折れます。
 今回、私の栽培場にも腕利きのプロカメラマンが来て、開花写真も含めて、そのとき撮れるベストなショットを沢山撮ってくれました。表紙の光堂の素晴らしい写真もそのひとつ。これは私には撮れない。一方で、プロではない私が撮った写真も結構載っています。被写体の植物と何年も暮らし、長い時間のなかで一番綺麗な瞬間・・・瑞々しく成長し、美しく花開いたときに撮影した写真です。その結果、最近のサボテン・多肉本のなかでは、花がかなり多いと思います。私にとっては長年撮りためてきた財産ですが、多くの人に植物の魅力を知って貰うために、選り抜きのショットを並べてました。あ、でも下の写真は本に載っているものではありません。これは今週末に撮ったサボ花です^^;。




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   Pelecyphora aselliformis
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   Notocactus uebelmannianus WG224 (yellow flower form)



 さて、今回の本は、もともとは友人でもあるTOKYの藤原さんの声がけがあって、共同監修の形で作ったのですが、私自身は、サボテン、メセン、アガベにアロエに球根、コーデックス等、大半に執筆も含めてコミットしました。一方で、サンスやブロメリア、ランや食虫など幾つかのカテゴリーは、その道に強い人に委ねました。藤原さんや編集サイドからは、私が関わったことで想定以上にマニアックな本になったと言われました。まあ、自らマニアックを名乗るような奇人仙人と組んだのだから仕方ありませんね(笑)。
 本の内容ですが、ビザールプランツという大きな括りで、食虫にラン、シダや雨林植物まで取り込みました。その結果、ひとつひとつのグループで紹介している種の数は決して多くはない。でも、各属各種の掘り下げ方は鋭角です。マニアックだけれど、専門書ではないという本になりました。読んでほしいのは、植物をはじめて間もない人、あるいはベテランであっても、育てる植物の幅を広げてみたい人。幅広いジャンルにたくさんのドアを並べてあるので、読者の方は、色んなドアを開けて新しい出会いを探してみて下さい。そしてこれは面白いと思ったら、その先は皆さん各々で深堀り、深入りでしみてください。どのドアも危険なプランツマニアへのお誘いになっていますので要注意。
 



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 各グループには、代表種だけではなく、珍種新種や、単に私が凄く好きだという理由で選んだ植物も入っています。そして、ひとつひとつの種のキャプションには文字数の許す限り色々なことを書きこみました。発見の経緯、自生地の環境、見どころや栽培のポイント…ひとつの種だけでも、下手をすれば一冊の本が書けるくらいの物語があったりするのです。それぞれの種について、出来るだけ深いストーリーを共有してもらえたらと思います。この作業は、植物ライターの辻幸治さんの力に依るところが大きいです。多くの項目で、種記載の基本情報などは辻さんがまとめてくれて、そこに栽培者目線、マニア目線で私が加筆するという形で進めました。
 一方で、いわゆる「珍奇植物の栽培方法」みたいな項目はやめました。サボテン科ひとつとっても、属や種ごとに育て方はぜんぜん違う。珍奇植物全般の育て方なんてそもそも存在しないし、あるとすれば、植物を愛して、徹底的に観察しよう、種からつきあってみよう、それくらいです。巻末では、わりと尖った発信をSNSで続けている若手の栽培家の方と座談会をしました。これも、タブーなしで言いたいことを言おう、ということで、多少のフリクションも織り込み済みでトーク。これは反骨の園芸家、藤原さん、そして植物愛に満ちた編集者の牧野さんの心意気があってこそ実現した企画だと思います。 ・・・とまあ、今回の本作りは実に楽しかった。だから読む人にも楽しんでもらえるのではないかなと。




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 そんなわけで、今回は宣伝文句がちょっと過多になってしまいましたが、一所懸命やったので、どうも口数が多くなってしまう。なにとぞご容赦を。そして、花の写真もたくさん載せて、ぎっしりキャプションを書きこんでも、それでもまだまだ、紹介しきれない植物、ストーリーがたくさんあります。40年植物とつきあっている僕でも、まだまだ新しい出会いには胸が躍るし、インスタにあげたりブログに書いたり、そして本にも載せたい植物は尽きることがありません。なぜなら、今日も明日も花は咲くし、私はカメラを構えて彼らを撮りまくる。そして今年もまた、まだ知らない植物たちの種を蒔くからです。機会があればまた是非面白い本を作りたいと思います。
 












テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

野生種にこだわったサボテンの本。


 すっかり春です。園芸家にとっては朝から晩まで温室で過ごしたい季節ですが、監修役を引き受けた植物の本の仕事で、原稿書きにゲラチェックと、やることが山積み。温室作業よりパソコンにかじりついている時間が長くなっています。ほとんどのサボ・多肉たちには、この春まだ2回しか水やりをしていません。しかし、主のそんな態度にもかかわらず、植物たちは新刺をあげ、花を咲かせ、春を謳歌しているようです。サボテンや多肉植物の多くは、根が健全ならば一度の灌水でしっかり吸水し、活発に動き出します。




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   Parodia uebelmannianus WG166 Corredor Collares, Rio Grande do Sul, Brazil
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   Echinocereus viridiflorus M282.03 Kansas, USA
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   Echinomastus laui SB525 Salinas,SLP,Mexico



 私が関わっている本とは別に、今月発売されたサボテンの専門書があります。「カクタスハンドブック 原種サボテンを楽しむ(双葉社)」という本で、著者の山本規詔さんとは以前から色々やりとりをさせて戴いていて、今回も本を送っていただきました。プロの園芸家として植物園などの植栽を手掛けたり、球根のネリネ(ダイヤモンドリリー)をはじめ様々な植物の育種も手がけている方です。一方で、子ども時代からの熱心なサボテンマニアとして、あらゆるカテゴリーのサボテンを種子から育成しています。これまで、一緒に種を輸入したり、あるいは戴いたり交換したりといった交流があって、私のところにも山本さん印の貴重な素晴らしい植物がいくつもあります。ちなみに、1枚目の写真のスミレ丸(Parodia uebelmannianus)は、普及品といわれるけど、どうしてもフィールドナンバーのついた産地のわかる苗が欲しいよね、という点で一致して(こんな感性を共有できる人、ほかに知りません)、一緒に種を輸入したものです。その彼が書く本ということで、開く前から期待大でした。




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   new cactus book 'CACTUS HANDBOOK' by Noriaki Yamamoto, my friend.



 その名のとおり原種サボテンの美しい図鑑です。帯には“原産地にこだわった野生サボテン300種”とあって、こうした本は他にないので貴重です。平成以降の日本でサボテン園芸といえば、兜やランポー玉、牡丹類に斑入りギムノと、園芸的に選抜された特定の種を集めるのが主流になりましたが、その網に漏れた様々なサボテンたちが、ここではしっかり紹介されています。実際、私が子どもの頃には、多種多様なサボテンや多肉植物が輸入されていて、愛好家にもとにかく色んな種類を集める、というタイプの人が結構いました。そういう人の栽培場は、おもちゃ箱のように多彩な植物が詰め込まれていて、整然と同じ種類が並ぶ昨今のサボテンハウスとは趣きがまるで異なるパラダイスでした。この本には、そういう目がクラクラするような魅力がたくさん詰まっています。




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 山本さんの許可を頂いて、本の中身を少しだけ紹介しちゃいます。たとえば人気のコピアポア。5ページにわたって14種が写真つきで紹介されています。黒王丸のほかにもこんなに色々魅力的な種があること、皆さんは知っていますか。もうひとつ凄いなと思うのは、掲載されているおそらく全ての株が、このコピアポアを含め種子から育成された標本であること。その大半が山本さんの卓越した栽培技術によるものと推察されます。もちろん、いわゆる人気種だけでなく、あまり知られていない柱サボテン、ウチワサボテンなどにもしっかりページが割かれていて、多くの人にとって“新しい出会い”がたくさん詰まっている本だと思います。


 ちなみに、私がかかわっている方の本、「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(日本文芸社)」は、連休明け頃に刊行される見通しです。なんというか、私の雑食性が反映されていて、サボテンや多肉はもちろんですが、それ以外の面白い植物も、何でもかんでも盛り込んだ本になっています。当然、各カテゴリーから取り上げる種数は必ずしも多くないのですが、セレクションはある意味偏っているし、キャプションも超マニアック、みたいな感じになりそうです。こちらもぜひお楽しみに。









 

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トロピカルなサボテンたち (書評「サボテン全書」)

   
いや、暑い。外にいると流れる汗が止まらない。

台風が通り過ぎて、猛暑が戻ってきます。温室作業を午前の2時間ほどで切り上げて、
午後からは、図書館へ涼みに行きました。そこで見つけたのがこの本です。



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「サボテン全書 All about CACTUS」
パワポン・スパナンタナーノン著、飯島 健太郎(監修)、 大塚 美里(訳)。

400ページ写真1000枚以上のずっしり重い大著で、前から気になってたけど、
タイ国の本の翻訳版、なおかつ高価なので、手が伸びなかったもの。
でも、借りて読めるならありがたい、シメシメ、と思って借りてきたのですが・・・

結論から先に言うと、実に素晴らしい本でした。
掲載されている植物と写真のクオリティがとても高い。
全部黒バックで、濃厚な色彩で写しとられたサボテンたちは、いかにも熱帯風。
自生地ルックとか、野の草の味わいとか、いつも私が求めていることとは反対ですが、
どのサボテンも美しく、解説も訳文もしっかりしているし、情報も詰まっています。
国内で以前刊行された「原色サボテン事典」(これも役立つ本だけど)と比べても、
標本のクオリティ、写真の技術が素晴らしい。
中を少し覗いてみましょう。以下はアマゾンの中身拝見のページへのリンクです。


●緋牡丹錦の群像

●兜についての考察


図鑑という名前ですが、サボテン概論みたいな導入になっていて、自生地の写真や
繁殖や病虫害、さらに土づくりなど、栽培法についてもわりとしっかり書いてある。
ただし、常夏の国、タイでの栽培を前提としたもの。
タイの本ということで予想するとおり、兜をはじめてとするアストロフィツム属、
および関連の園芸種についてはたっぷり紙幅を費やして紹介されています。
スーパー兜の登場でおったまげた世代としては、その末裔たちがここまでの多様性を
獲得したのか、と改めて感服。一本も育ててないけど、ちょっと興味が湧いた。
同様に、タイといえばお馴染みのギムノの斑入り、緋牡丹錦の色々、いろいろな、
バリエーションが色彩豊かにページを飾っています。このあたりは予想どおり。


●アリオカルプス、日本人好みの標本株


一方で、アルファベットのAからはじまって、ひととおりサボテン科各属全体を
展望しようという意図もあり、人気がない仲間、などと断りながら、柱サボテンの
各属なども紹介されていたり、リプサリスなど着生サボテンも無視していない。
人気のコピアポアも、黒王丸一点買いじゃなくて、マイナーなものも網羅している。
特に最珍品のデコルティカンス(C.decorticans)が載っていたのはビックリ。
アズテキウムのページに、立派な株の写真を載せつつも、「盗掘株の子孫」と
記されているあたりも、愛好家の心の軋みを感じさせて味わい深いです。

やっぱり、と思ったのはフェロカクタス(Ferocactus)で、すごくあっさりと
4ページくらいしか記載がありません。本来タイの人が好みそうな派手な姿の
神仙など赤刺系が登場しないのは、熱帯では美しく作るのが難しいからでしょうね。


●渋めの南米サボたちも・・・


私として気になるのは、いわゆる北米高山種といわれる難物サボテンの扱いですが、
こちらもやはりというか、記載は薄め。エキノマスタス(Eechinomastus)は2ページ
割かれていますが、桜丸(E.intertextus)として出ている写真がちょい怪しい。
ペディオ(Pediocactus)は1ページのみで、スクレロ(Sclerocactus)は
扱いがありません。これもタイでの栽培には向かないからでしょう。

でも、月の童子(Toumeya papyracantha)と、雨林サボテンの大珍品、
ストロフォカクタス・ウィッティー(Selenicereus=Strophocactus wittii)が
隣りあったページに載っているのはちょっと感動しました。
結局、アマゾンでポチリとやってしまうことになりそうです。





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ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。
著書「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(日本文芸社)」

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