冬のマミラリア。

たまの休日、植物の世話をしてやろうと張り切って、朝のコーヒーもそこそこ、自宅から離れた栽培場へ。
しかし、到着してみるとハウス内はまだひんやりと薄暗いままで、吐く息が白く浮かびます。
私のところは東側に山があるので、陽差しの低いこの季節、10時近くにならないと光が入ってきません。
しばらく周辺の片づけなどで時間をつぶし、やっと明るくなってきたハウスで軽く水やりをすませると、
どっかの公共事業みたいに、完遂の見通しのない植え替えに黙々と取り組みます。
すると、あっというまにお午に。


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この日はよく晴れて、ハウス内のそこここで、冬咲きのサボテンたちが花を開いていました。
昼食をかんたんに済ませ、陽だまりにサボテン鉢を持ち出して撮影。
いま時分は、光線が斜めから照らすので標本撮影にはむきませんが、サボテンの薄い花弁を光が透かすような、
綺麗な写真が撮れることもあります。

こちらは、マミラリアの白子法師(Mammillaria solisioides L671,Petlaltzingo,Puebla,Mex)。
といってもこの和名はいまいちヘンチクリンで馴染みがわかないので、
ソリシオイデスと呼ぶほうがしっくりくるかな。黄花の白マミはあまりないので、目を惹きますね。
属名の由来となった、多足類のような刺の生え方も、よーく見れば味わい深い。
花どきにならないと目につかない、自己主張しないところも、奥ゆかしくてよろしい。


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別の一隅では、マミラリアのヘルナンデシー(Mammillaria hernandezii FO-023 Telixtlahuaca,Oax.Mex)も
咲いていました。この種は、去年は11月の中頃に花をつけました。最近は、サボテンの開花時期が年によって
まちまちで、気候のブレ幅が大きくなっている印象を受けます。
小型大輪系のマミはほかにも色々ありますが、この植物はカリっとした感じの硬くて短い刺が好きです。
花は地味ではないが、派手過ぎず、植物本体のストイックな雰囲気を壊さないところが良い。
この株は、こんなに小さいですが、種を蒔いて10年くらい育てていると思います。いっこうに子も吹かず、
群生などする気配もありません。小さな頑固者!

この季節、写真が撮れる時間は、わずか数時間。光線がだんだん黄色みを帯びてきたなぁと思うと、もう日暮れです。
サボテンたちがあわてて花弁を閉じてしまう前に、もう少しだけ。


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冬のサボテン、という呼び名がいちばん似合うのはやっぱりこの植物かも知れません。
白星(Mammillaria plumosa SB834 Arroyo Huizache,NL,Mex)は、痛くないフワフワの刺
(という呼び方より、羽毛というほうが適切かも)に柔らかく包まれた球体から、うっすらクリームがかった
白い小さな花を咲かせます。
私が小さな虫だったら、寒い日は間違いなくこの暖かそうな羽毛のなかに潜り込みますね。
栽培は難しくないし、育つのも早く花も良く咲く・・・と、駄モノの条件を満たして?いますが、
撫でたり触ったりしていて癒される、というサボテンは他にあまり例がないし、他種をもっては代え難いところ。
自生地で岩の透き間にはまるように生えている写真を見たことがありますが、綿毛が分厚くて食害されにくい
だけではなく、なにか神々しい印象を野生動物にも与えるのかも知れません。
あと、これは個人的見解ですが、白星の花は圧倒的に白じゃなきゃいけない。これが赤やピンクだったら、
決定的な何かが損なわれてしまう。
クリスマスの朝に、すっかり町並みを覆った雪帽子みたいな濁りのない存在感が、このサボテンにはあるのです。
今年は降るかな。ふんわりメレンゲの雪。


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小さな花。

やっとポカポカした陽気になってきたと思ったら、次の日からは冷たい雨に逆戻り。
すでに屋外に並べてしまった夏型多肉が、寂しそうに濡れそぼってます。
このまま腐ったりしなきゃいいんだけど・・・。

さて。
きょうは、春先から撮りためてきた花の写真を気晴らしに並べてみます。
タイトルの「小さな花」、って言うのは、正確には正確じゃなくて、正確に言うと、
小さなサボテンの小さいけど球体と比べれば大きな花、っていうことで。

まず一枚目。


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シンチア・ナイツェイ(Cintia knizei)。
ボリビアなどの標高4000m 近い高地に生育する極く小型のサボテンです。
ペルーのサボテン業者、Karel Knize氏が90年代に記載した新種で、導入当時は結構もてはやされました。
でも、当時の輸入株、日本じゅうでどのくらい生き残ってるかな。
最近はレブチア属に編入されて、正しい名前はレブチア・シンチア(Rebutia cintia)に。

この鉢が3寸鉢(9cm)だから、実に小さいでしょ。球体の径が1cm もないです。
花はとうぜん、球体よりも大きい。


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この株は当時、そのKarel Knize 氏から手に入れた輸入株がつけた種子を実生したもので、
これで種から5年以上経ってます。
花の感じは、同じく最近レブチア属に編入された、かつてのワインガルチア属 (Genus Weingartia) に近い印象。
濃いめの山吹色で、梅の花のような雌しべのようすも風情がありますな。
決して大きな花ではないんだけども、球体が極小なので、大輪にも見えまする。
この種でいちばん大きな部位は根っこでありまして、地下には球体の数倍の塊根が埋まってます。
なので、若干多湿は苦手ですが、栽培の難しい種類じゃありません。


つづいてはこんなの、


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小型サボテンの代名詞みたいなもので、有名なギムノ羅星丸(Gymnocalycium bruchii GN162-442)。
産地によっていろんなタイプがありますが、GN162-442という番号が、採取地データと照応していて、
それによるとこの個体は、アルゼンチンのPortezuelo産。
写真の株は直径1cmくらいで、花は4cmくらいあります。純白の超大輪がステキ!
園芸的には肥培して大群生させるのが常道なんだけど、うちの粗放環境では、永らく単頭のままっす。
・・・いいんだってば。そのほうが花だって豪勢に見えるんだから。


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こちらはお馴染みのエキノフォスロカクタス。小型種というより、こんな小さいうちから花が咲くんだなと。
最近、もっとも旺盛に現地を歩いているチェコの人たちが、メキシコはツーラの町の川岸でみつけて、
「あ、これ新種かも」と、気軽な感じで新亜種として記載したもの。この類の分類は難しすぎて私にはわからん。
で、その記載名が、
ペンタカンサス・ツーレンシス。
Echinofossulocactus=Stenocactus penthacanthus ssp.tulensis CH238)
写真の株も直径1cmあるかないか。咲いたときはびっくり。
この場合、色気のない素朴な花がいい味出してると思うのはワシだけか?


最後は、いまやド有名種になったこの子たち。


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マミラリア・ルエッティ(Mammillaria luethyi)。
昨今だいぶ普及したけれど、幻のなかの幻、数々の伝説に包まれてきたサボテンです。
半世紀もまえにメキシコの田舎町のホテルロビーでコーヒーの缶に植わっているのをある専門家が見つけたものの、
出所がわからないうちにその株は枯れてしまう。その後、90年代に入って再発見された後も、
原産地で撮られた数葉の写真がその珍奇な姿を知らせるだけで、自生地も公開されていない、究極の稀種。
どうどう?凄そうでしょ。マニア心くすぐるでしょ?最近じゃどこでも売ってるけどね。

だけど、こうしていま向き合ってみると、珍しさだけじゃなくて、シンプルにとても素晴らしい植物だと思います。
おそらくすべてのマミラリア、いやすべてのサボテン、いやいや全世界の植物のなかでも、もっとも鑑賞価値に
優れたものの一つだと。

これ、ヒトの改良の手が加わっていない、野の花だからね。
植物好きなら誰でも好きになっちゃうくらい可愛くてキレイでしょ。刺もなくて痛くないし!栽培難しくないし!
ということで写真をさらに追加追加。


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毎年、この花を見るたび、完成度の高さに圧倒される。
紫がかった桃色の花弁は底部が純白で、そこに鮮黄色の雌しべがとっても映える。
ちょっとクロッカスみたいな雰囲気で、小さな植物体が見えないくらい群開する。
じっさい自生地でも、球根植物のように植物本体はほとんど地中に埋没させて暮らしていて、
花どきじゃないと見つけられないんじゃないかと。

球体も、マミラリアとは言うものの、他の種とはかなり異なった姿で、珍奇そのもの。
小型サボテンの常で、大きな塊根があり、それがこれだけたくさんの大輪花を咲かせる力の源。
栽培では根っこを太らせてやることが大事かと。


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うちの個体は、ずいぶん前に接ぎ木で入手した苗をバラしたものだけど、既におっきい塊根が出来てます。
たくさん咲いても、同一クローンなので、残念ながら種がとれまへん・・・。
ときおり、種が海外業者で売りに出されるので、蒔いたことがありますが、発芽せず。
このサボテンを実生でいっぱい育ててる、ってヒトがいたら是非とも教えて下さい。
それこそ花変異とか、いろいろ出てきたら面白いなーって思うんだけど。


さて、週末はなんとか晴れてくれますように・・・。
じゃないと、植え替えに種まきに・・・作業が追いつかないんだよう><。




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沙漠植物、栽培、探究。

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