萌えるエネーション~エリオスペルマム考。

      
エリオスペルマム(Eriospermum)。
名前も舌を噛みそうだし、球根は不格好で花は地味だし、かつては変わり者が好む植物の典型でした。
私ですか?変人に間違いないですね。むかしからこれ、好きだし。

いまは、かなり人気があるみたい。
チャームポイントは、奇妙な突起、ケバや羽毛に覆われた小さな葉っぱです。ユニークなデザインで
見飽きることがない。種によって葉の形も大きさも異なるのだけれど、どこか「エリスぺっぽさ」は
通底していて、鉢を並べるとしっくり収まる。個性的な顔ぶれの家族のようです。




resize3741.jpg

resize3755.jpg

resize3743.jpg
                    Eriospermum dregei




この属の植物の見どころは変わった形の葉ですが、葉そのものと言うより、そこからたちあがる突起や
ケバに魅力があります。この部分を趣味家は「付属器」「エネーション(enation)」などと呼んでいます。
上の写真、ドレゲイ(Eriospermum dregei)は典型的な姿のもので、鹿の角状に分岐し、ケバに包まれた
突起が、それにあたります。下の方に、本来の葉っぱのようなものが見えていますが、これだけだったら
特に面白くないですよね。この種はキラキラと輝く銀色のケバが魅力で、結露をとらえるために発達した
もの、などと推察する人もいます。




resize3729.jpg

resize3730.jpg
                    Eriospermum cervicorne




こちらの種(Eriospermum cervicorne)は、上のドレゲイのエネーションがさらに大きくなった形で、
魔女がまたがる箒のように見えます。育て方が柔弱なので、寝そべってしまいました。ドレゲイとどちらが
面白いか、好みがわかれるところです。

エリオスペルマムは、分類学的にはキジカクシ科(Asparagaceae)に置かれることが多く、南アフリカを
中心に百種以上があると言われています。多くは冬型ですが、最近導入された東アフリカ産もののように
(別属という見方もある)、夏型もあります。属名は綿毛に包まれた種子、といった意味で、種をつけると、
なるほどと頷けます。写真がありませんが、根茎(リゾーム)は不整形で、芽点もランダムに散らばって
います。上下や、どこから葉っぱが出てくるかわからず、植えつけるとき困りますが、もし逆さに植えても
葉っぱがぐるっと回って出てきます。最近、この属の塊茎を露出して植える人がいますが、かなり前衛的な
印象になりますね。植物の側にたって眺めると、わりと痛々しい。




resize3734.jpg

resize3739.jpg

resize3736.jpg
                    Eriospermum proliferum




プロリフェルム(Eriospermum proliferum)は、細く伸びた葉軸から房状にエネーションを拡げます。
ひとつひとつが細かいので、地上の植物というより水草のような印象。しかし、重力のある環境で
この立ち姿を維持出来るのは、見た目の印象とは異なり葉軸も付属器もかなり強靭だからです。
休眠期に枯れたあとも手では引きちぎれないほど。また、根茎も成長旺盛で、あちこちから芽を
吹いてきます。ケバや毛がないので、静かな印象の植物ですが、生命力に満ちています。

エリスぺのエネーションですが、この属のすべての種に生じるわけではなく、また備わっている
種であっても、コンディション(ごく若いとか、発根が少ないとか)によっては発生しないこともあり、
そうなると実に淡泊な姿になります。
私はアペンディクラツム(eriospermum appendiculatum・・・付属器ありの意 )の付属器を欠いた
わりとガッカリ?なクローンも栽培しています。




resize3745.jpg

resize3747.jpg

resize3753.jpg
                    Eriospermum aff.capense 'namaquanum'




こちらは、元々エネーションがないナマクアナム(Eriospermum aff.capense 'namaquanum')。
萌え萌えはついてませんが、カップ状のビロード質の葉は、葉軸と葉裏がワインレッドに染まり、実に
美しい。この種は古い山採りでナマクアナムの札で送ってきました。カペンセに近いもののように思えます。
成長旺盛な種で、何年かに一度鉢から出すと、ご覧のように根茎が鉢と同じサイズになっている。
外せる根茎を外して、植え替えてやります。エリオスペルマムは、こうして株分けで増やすのがいちばん
簡単ですが、たまに単株でも結実するので実生も出来ます。

姿は変わっているけれどエリスぺの栽培は難しくありません。秋、涼しくなったら水やりを開始し、
陽当たりの良い場所で、春先まで「乾いたらすぐやる」ペースで灌水します。寒さは苦手と言われますが、
氷点下5度まで冷える私のハウスでも凍害を受けたことがありません(ブルンスビギアなどは葉が傷む)。
南アから輸入されたばかりの株は、季節が逆転しているのでなかなか葉が出てこなかったり、数年間、
ペースがつかめないこともありますが、馴化すれば問題なく育ちます。ただ、種によりますが花つきは
いまひとつという印象です。


ほかにも、面白い種が色々あるエリオスペルマムですが、最近は人気があるようで、入手難のようです。
ですが、見かけよりはフレンドリーで長生きな植物なので、良い株を見かけたらぜひ育ててみてください。







テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

この花、なんの花?

     
秋から春にかけ成長する冬型球根のなかでも、シーズンの終わり、つまり春を迎える今頃開花するものがあります。
多肉、コーデックス界隈では、球根といえばブーファン(Boophane)やハエマンサス(Haemanthus)など
ヒガンバナ科が人気ですが、これらの多くは、夏の終わりや秋口、葉の出る前に咲くものが多い。
きょうは春の陽ざしを浴びて花盛りを迎えているアヤメ科やユリ科の球根をいくつかご覧ください。




resize2774.jpg

resize2776.jpg

resize2764.jpg
                    Babiana rubrocyanea




まずはアヤメ科の球根、バビアナです。花色の鮮やかさ、バラエティでは、ケープ球根のなかでも傑出しています。
葉っぱはふつうの草花なので、多肉マニアからはあまり注目されませんが、これが野生そのままの植物なのか、
と思うほど鮮やかな花を咲かせます。このルブロキネア(Babiana rubrocyanea)は外弁が青紫で中央部はピンク。
寒さにも強く、氷点下5度以上に冷え込む無加温ハウスでもあまり葉枯れせず、花もよく咲きます。
バブーン(ヒヒ)が好むという球根の成長はゆっくりですが、少しずつ分球して増えていきます。夏は完全断水。




resize27825.jpg

resize2781.jpg

resize42782.jpg
                     Ornithogalum pruinosum




こちらも多肉というより花もの球根として知られているオーニソガラム・プルイノサム(Ornithogalum pruinosum)。
花弁は純白で、中心部のレモン色が冴えて美しい。白い花ってやっぱり綺麗だなぁ、って思わせてくれる上品さ。
小ぶりのニラみたいな葉っぱは、ほんのり青くて質感もいいですが、肉厚ではありません。しかし自生地は南アフリカの
Steinkopfあたりの過酷な乾燥地帯です。自生地画像を検索すると多肉植物と混生していたり、ブーファンみたいに
大きな球根を地上に露出していたり、じつに魅力的あふれる球根。もっと大きくしたいな。




resize2768.jpg

resize2766.jpg

resize2786.jpg
                   Ornithogalum sp. 'Neopatersonia'




最後は、謎の球根です。十数年まえに南アフリカからまとめて球根を輸入したときに入ってきたものですが、開封時、
ハエマンサスだのブルンスビギアだのに気をとられて、名札をロストしてしまいました。以来ずっと名無しなのですが、
花はなかなか面白い。アルブカ・ブラクテアタ(Albuca bracteata 海ネギと言われるやつ)に形は似ていますが、
あんなマッシブな球根は出来ません。十年以上経っても数センチの小さい球根。葉っぱは細長く自立できない感じで、
海ネギに似ています。で、この花です。ちょっと蝋細工みたいな硬い感じもあって、エビ茶の目立つ花です。

同定できるかた、ぜひご教示ください。

→ ご指摘戴いて調べたところ、アルブカとともにオーニソガラムに包摂されることが多い
  ネオパターソニア属(Ornithogalum sp. 'Neopatersonia')の花に大変よく似ていることが判りました。
  ただし、臙脂色の花はネット上でも見つけられませんでした。

















テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

CapeBulbs

  
秋が終わり冬になると、わが多肉ハウスは山かげにあるため、日照時間は午前10時から午後2時半くらいまでです。
暖房設備がなく夜中は毎晩氷点下近くまで気温も低下するので、冬に元気よく育ちたい植物には申し訳ないかぎり。
メセンなどは寒さをものともしない強さがあるのですが、コーデックス系や球根葉物は2月頃には葉先が枯れたりして、
成長が鈍る。いまは、厳寒期ぎりぎり手前でつぎつぎと開花しています。




resize2518.jpg

resize2517.jpg
               Massonia echinata



もっとも寒さに強い部類の球根はマッソニア・エキナータ(Massonia echinata)です。この属の植物は全般的に
大変丈夫で、真冬に灌水して鉢が凍っても死なないくらい。ケーブバルブと呼ばれる中で、マッソニアはとりわけ
耐寒性が強い植物。プスツラータはじめ、花鉢として結構普及しているものも多いですが、そもそも区別が難しい。
このエキナータの名前でもいくつかのタイプが流通しています。




resize2516.jpg

resize2514.jpg




写真の株について記載すると、かすかな条理をきざんだ幅広の葉を対に広げ、まんなかから蝋のような光沢のある、
白い花を咲かせます。一見、細い花弁のようにみえるのは直立した雄蕊で、先端の青い(黒い)部分に花粉がついています。
真ん中あたりにある、先端に花粉がついていない黄色っぽくみえるのが雌蕊です。
授粉するのは齧歯類と言われていて、花のまんなかに顔を突っ込んで花粉だらけになりながら、蜜を吸うらしい。
想像すると可愛らしい。彼らを呼ぶためなのか強烈な芳香があり、いい香りなのですが、あまりに強い香りなので、
花どきにハウスに入ると頭がクラクラしてきます。顔を突っ込むのは、私にはムリ。




resize2512.jpg

resize2510.jpg
               Gethyllis linearis



つぎは、人気のクルクル葉っぱ球根です。いろんな種類のクルクルがケープ地方に生えているんだけれども、
これはゲシリス・リネアリス(Gethyllis linearis)。この仲間は葉っぱが巻いたりうねったり毛がはえたり、
なんかしら普通であることを拒むような気配があります。なかでもこいつはへその曲がり具合がもっとも甚だしい。
たいへん成長の遅い球根で、10年くらい育てていますが、去年秋にぬきあげた時は小指くらいしかなかった。




resize2531.jpg

resize2530.jpg
               Gethyllis barkerae



これはゲシリスの花です。葉っぱの出るまえ、夏の頃に咲く。この属はどの種も同じような花ですが、これは
上のリネアリスではなくて、バルケラエ(Gethyllis barkerae)という種の花。くるくるじゃなくて、もしゃもしゃ
毛がはえるタイプの葉っぱです(写真はいつかまた)。私の趣味では、こちらの方が面白いように思う。
ゲシリスも寒さには強い方で、そのかわり芽吹きも遅く、夏場灼熱のわがハウスでは、10月半ばにやっと動き出す。




resize2520.jpg

resize2521.jpg
               Veltheimia capensis



最後は、むかしから育てられているのに、最近あまり見かけなくなった種類。葉も花もとても美しいので見直したい。
ヴェルセミア・カペンシス(Veltheimia capensis)は、比較的大型の球根で、徳利状にふくらむ球根部の雰囲気は
ちょっとブーファンにも通じます。ふくらんだ部分を地上に出して植えてもよい感じ。というか、育てていると、
地上部分も膨らんできます。花はサンゴ色~藤色で、房状に咲いてほかにない不思議な印象を与えます。




resize2524.jpg

resize2523.jpg




花だけでなく、葉っぱもいい。ブルーを帯びた葉は、縁がフリルのようにウェーブしていて、観賞価値を高めています。
丈夫ですが、寒さにはそんなに強くない。冬に枯らしたことがあります。また、夏場に湿らせると腐りやすい。
私のところの株は、十年以上まえに種を輸入して育てたもので、これまで十株以上、外に出して残るはふた株のみ。
種をとろうと思ったのですが、花の構造がややこしくてうまく授粉できたか、心もとありません。



今年の冬は、穏やかでありますように。









テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物、栽培、探究。

最新記事
全記事表示を読む

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カレンダー
01 | 2018/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 - - -
Excite自動翻訳
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる