歩いて眺める植物図鑑。

    
今回は、夏休みに子どもを連れて行った山で撮った野の花、山の花です。
2、3時間の散策で、やたらたくさんの花を見ることが出来ました。
それには理由もあったのですが、まずは写真を並べてみます。




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入笠山は、南アルプスの前山にあたる山で、標高1,955mと、植生の変化を
楽しめるくらいの高さはあります。しかも、スキー用のゴンドラでほとんど
山頂付近まで運んでくれるので、山登りとは言えず、野原の散策という感じ。
いつも海ばかりなので、たまには山に行きたい、という子どもたちの希望を
入れて、車を長野まで走らせました。あ、長野といっても、サボタニ園には
行ってませんよ、ねんのため。




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ゴンドラの山頂駅から少し歩くと湿原がひろがっていて、ここでたくさんの
花に出会えます。着いたときは一帯に霧がたちこめて、幻想的な感じです。
花たちもしっとり濡れそぼって、晴れの日とは違った美しさ。「入笠湿原」
「御所平」と花を見ながら登っていきます。




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          ヤナギラン(Chamerion angustifolium アカバナ科)
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          サワギキョウ(Lobelia sessilifolia キキョウ科)
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          ウメバチソウ(Parnassia palustris ニシキギ科)
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          エゾリンドウ(Gentiana triflora ssp.japonica リンドウ科)
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          ツリフネソウ(Impatiens textori ツリフネソウ科)
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          ホソバトリカブト(Aconitum senanense ssp.senanense キンポウゲ科)
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          クサレダマ(Lysimachia vulgaris ssp.davurica サクラソウ科)




とまあ、数百メートル歩くあいだに、これだけの花を見ることが出来ます。
8月下旬でこれだけ咲いていますから、もう少し早く訪れればもっと色々
咲いていたかも知れません。




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          マルバダケブキ(Ligularia dentata キク科)
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          ハナイカリ(Halenia corniculata リンドウ科)
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          ハクサンフウロ(Geranium yesoemse ssp.nipponicum フウロソウ科)
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          シシウド(Angelica pubescens セリ科)




この「湿原」はネットでシカの食害を防ぐためネットで囲われていて、
入山者はゲートをあけて中に入り、また出ていく形になっています。
湿原を抜けて、樹林帯のなかを歩いていくと、ほどなく山頂。




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すると、にわかに晴れてきて、視界がいきなりひらけました。
南北の日本アルプスを見はるかし、眼前には八ヶ岳。素晴らしい眺めでした。
帰り道は、燦々とそそぐ陽射しの下、同じ花を見ながら下りていきます。




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          マツムシソウ(Scabiosa japonica マツムシソウ科)
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          コオニユリ(Lilium leichtlinii ssp.maximowiczii ユリ科)
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          キキョウ(Platycodon grandiflorus キキョウ科)
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          アカバナシモツケソウ(Filipendula multijuga ssp.ciliata バラ科)
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          エゾリンドウ(Gentiana triflora ssp.japonica リンドウ科)
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あとで調べたのですが、じつはこの入笠山一帯では、動物などから植生を
保護するだけでなく、定期的な草刈りや、一部では植栽も行われているようです。
やけに色の赤いシモツケソウや、コオニユリなどは自生のものではない、という
記述もネット上にはあります。さすがに湿原内に外からの植物を植栽することは
ないでしょうが、かなり人の手の入ったお花畑、という印象もあります。
これだけの範囲でたくさんの花をみることができるので、山につくった植物園、
歩いて眺める植物図鑑、と思えば、ポジティブに楽しめそうです。
ぜひいちど。









テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

ソテツとシダの島②

   
「金作原(きんさくばる)原生林」は県道79号線で島の北側にまわり、大和村付近から山に入っていきます。
県道からの分岐点には案内の標識もたっているので迷うことはありません。
道もほとんどは舗装路で、最後の数キロだけ未舗装部分があるだけなので、それほどハードな道行きではない。
さて、ここにつくまでにもたくさん目にする奄美のシンボルツリー?がヒカゲヘゴ(Cyathea lepifera)です。
ヘゴ類は鑑賞価値も高いので、育てている、或いは育てたことがある方もおられるのではないでしょうか。




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                    'Kinsakubaru' virgin forest Amami Oshima




金作原遊歩道の素晴らしいところは、この巨大な木性シダを真下から見上げながら歩けること。
ジェラシックパークとか言うのは嫌なんだけど、子どもたちは素直に恐竜が出てきそうだと言ってました。
ヒカゲヘゴの特徴は、葉柄が脱落したあとの、八の字のような紋様です。これは八丈島・小笠原などに分布する
マルハチ(Cyathea mertensiana)とよく似ています。厳密な表現とは言えませんが、シダ植物が全盛だった
古生代の生き残りなとと言われます。でもまあ、想像力をかきたてる姿であることは、間違いない。




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                    ヒカゲヘゴ (Cyathea lepifera




鬱蒼とした密林に生えるヒカゲヘゴですが、大きな葉は木々の梢の上で展開し陽光をたっぷり浴びています。
これがこの種を栽培する際にネックになってくるところ。高温多湿(蒸れるくらい)で、なおかつ直射日光が必要。
葉っぱには強い陽光をあてるけれど、幹の部分は日陰にして常に湿らせておくというのはなかなか困難で、
ふつうのハウスや温室では乾きすぎてしまう。温泉でも湧いている場所に、天井の高~い温室でも作らないと、
この種はうまく育てられないでしょう。ときに観葉植物として出回っていますが、長く育てるのは困難です。
筆者もかつて、毎日幹に霧吹きしながら3年ほど育てましたが、次第に衰弱して枯れてしまいました。




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                    ヘゴ(Cyathea spinulosa




よく見ると、この森にはもう一種類、ヘゴがあります。こちらは"ヒカゲ"がつかないヘゴ(Cyathea spinulosa)。
葉柄の脱落痕が長いため、幹の八の字マークがありません。全体に小ぶりで、地味な印象のヘゴですが、
丈が低いので植物全体が暗い森のなかに生えています。幹がつねに湿っているくらいの湿度が保てれば、
こちらの方が小ぶりで栽培向きかも知れません。でも、市場で見かけることはあまりないですね。

さて、奄美大島はシダの島と書きましたが、ヘゴ以外にも観賞価値の高い様々なシダが生えています。




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                 シマオオタニワタリ(Asplenium nidus
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                 リュウビンタイ(Angiopteridaceae lygodiifolia
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                  ヒリュウシダ(Blechnum orientale
  



大きな木の中ほどには、だいたいシマオオタニワタリ(Asplenium nidus)がくっついています。
こちらも観葉植物としておなじみですが、地元では新芽を蕨やコゴミのように食べたりもするそうです。
湿った斜面に陣取るのは、こちらも栽培下でおなじみのリュウビンタイ(Angiopteridaceae lygodiifolia)です。
なかには人の頭くらいの巨大な塊根のものも。この植物はきわめて丈夫で、私の家にも、15年以上生きている株が
あります。葉っぱを拡げると直径2m以上になるので、たいへんな場所とりですが、緑濃い美しいシダです。
下の写真のヒリュウシダ(Blechnum orientale)はちょうど美しい新葉を展開しているところでした。




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                カゴメラン(Goodyera hachijoensis ssp.matsumurana
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                ツルラン(Calanthe triplicata




金作原の林床には、シダ以外にも興味深い植物がいろいろ見つかります。
この網目の葉模様は、カゴメラン(Goodyera hachijoensis ssp.matsumurana)です。
林床を飾る美しい地生ランで、国産のジュエルオーキッドと言ってもいいくらい。ここでは個体数も大変多いので
特に探さなくても見ることが出来るでしょう。実はこの仲間は房総半島でもみられるそうなので、こんどこちらでも
探索してみようと思います。そして薄暗い林内を照らすような白い花は、ツルラン(Calanthe triplicata)です。
エビネの仲間ですが大柄で見ごたえのある植物でした。もう少し小ぶりの花の咲いていないエビネも沢山見ました。




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今回、金作原を歩き回ったのはわずか2時間ほど。見つけた植物はすべて遊歩道沿いに生えていたものです。
もしハブ対策で足元をしっかり固めて密林を縦横に歩けば、もっと素敵な出会いもあったかも、と物足りない気持ちを
残してきたので、きっとまた訪れることになるのかな。


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ソテツとシダの島①


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去りゆく夏の後ろ姿を惜しみつつ、8月の小旅行の記録を。
奄美大島は年間3000ミリ近くの降水量があり、それに伴って日照時間は短く、多湿な気候です。
しかし、あの台風10号も島を手前にひきかえしたため、幸運にも私が訪れた数日間はすべて晴れていました。




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               Coral reef off the coast of Kuninao village, Amami Oshima




今回の旅はサンゴの海で泳ぐ、というのが主題でありました。
海のなかの生態系は、珍奇植物の世界と感性の通じあうところ極めて大だと、実は思っていまして、
果てなき青のなかを漂いながら、「あ、サルコカウロン!」などと声をあげる(正確には心の声)こともたびたびでした。
このときは、最近案じられているサンゴ白化の兆候は目立っていませんでしたが、水温はとても高くて、海の中が暑い。
ウエットスーツをきているスクーバ・ダイバーがかわいそうでした(こちとら気楽な素潜らー)。
で、海からあがれば、




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近くの斜面地には、しばしばソテツの群落が。これまた、スルーするわけにはいかないです。
なかでも、この龍郷町・安木屋場は、海沿いの山がほぼすべてソテツに覆われています。地元の人によれば、
元々生えていたところに、食糧にするため(幹からデンプンをとる)さらに植林されたんだそうです。
当方視認の範囲でも数千本以上生えていると見ましたが、主催者発表では参加者6万とのこと。ほんまかい。




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            large population of Cycas revoluta, near Ankiyaba village, Amami Oshima




ソテツ(Cycas revoluta)は、私にとって珍奇植物道の原点のような存在です。幼い頃、祖父母の家の庭に
八丈島からとりよせた、という巨大なソテツが植えられており、ほかの植物とはまるで違うその葉幹には、
なんというか、ある種の畏怖の念を覚えていました。恐る恐る、そのいかめしい幹肌に手を触れた遠い記憶。
いま、奄美のソテツ山を目の前にして、いまにも歩き出しそうな巨大な彼らがひしめいているさまを見ると、
あの頃の感覚を思い出します。植物なのに、なにか動物的なものを感じてしまうのです。今にも動き出しそうな。
ほんとうは、このソテツ山に分け入って一株一株を愛でたかったのですが、あまりの暑熱で遠望するのみに終わりました。
いえ、本当はどこか彼らに近づき難さを感じていたのかも知れませんね。




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                  cycad nursery in Tatsugocho, Amami Oshima
 



この近くに「黄金ソテツ」と看板をかけた店があったので、宿への帰り道のぞいてみました。いわゆる金冠ソテツは
沢山ありましたが、葉全体が黄色く染まる「黄金」はみあたらず。店の老人にきくと、昔は扱っていたが、
みんな売れてしまった。奄美の山には「黄金」は生えていないが、離島にいけば今でも生えているとのこと。




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                  Cyathea lepifera
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                  Osteomeles anthyllidifolia ssp.subrotunda




奄美の名物、ヒカゲヘゴの小苗や、外国産のソテツも少しだけ置いてありました。
そして、上の写真をみて、あれ?オペルクリカリアでは?パキプスでは?と思った人はいませんか。
実は私も一瞬、おお!と声が出てしまいました。
よくよく見ると、南西諸島の海岸に自生するテンノウメ(Osteomeles anthyllidifolia ssp.subrotunda)。
話をきかせてもらったお礼に、この東洋のパキプスと、小さい金冠ソテツを買って園を後にしました。




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折角なので、海からあがったその足で有名な原生林「金作原(きんさくばる)」を訪ねてみることにしました。
ホテルで、「金作原(きんさくばる)」にはどうやって行くの?と訪ねたら、「ガイドなしではたどり着けない
悪路の果てにある」などと言われました。ガイドブックにも詳しい道順は載っていない。
サボテン探しで岩が転がるガタガタ道を100マイル以上走り続けたこともあるので、よっしゃーという感じで
走り出しましたが、県道から曲がる場所には案内板がたっているし、悪路というかただの未舗装路で、
難なくたどり着くことが出来ました(写真は未舗装路に入る手前ですね)。




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                at the entrance of Kinsakubaru virgin forest                                 



奄美は全体に山がちで、沖縄でいえばやんばるのような雰囲気です。うむ、ハブの棲み処という感じ。
よく晴れた一日でしたが、金作原の密林に入っていくと、じっとりと湿気を感じます。
この原生林では、おもしろい植物をいろいろとみることが出来ました。
長くなったので次回に続けます。


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