奇妙な植物(ドルステニア2題)。

   
ふうがわりな花を咲かせる植物、ドルステニアのなかでも、
とりわけ奇妙な花を咲かせる2種を紹介します。




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                 Dorstenia crispa ssp.lancifolia ES10113 Somalia




クリスパ・ランキフォリア(Dorstenia crispa ssp.lancifolia ES10113 Somalia)という名で入手。
この属のなかでもフォエチダ=クリスパは普及種として、あちこちで目にする植物になりました。
多くのクローンが単独で結実し、種をバラ蒔いて増えるので、温室雑草的にみられることさえあります。
ですが、このフォームは特別です。以前エキゾチカから出たタイプですが、太くて重量感がある幹は、
葉の脱落痕と小さな突起にびっしり覆われる。肉質は固く、成長もとても遅い。一般的なランキフォリアは
赤肌の個体が多いですが、こいつは仄かに赤みのさすグリーンです。




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極めつけはこの花です。この属は、魔女の手とかシナプスとか形容される奇妙な花ばかりですが、
なかでもインパクト最強。世界が歪むような不自然な造形。シュルレアリスムの空に浮かんだ太陽。
いったい誰に何を伝えたくて、こんなにとんがった姿をみせてるんだろう。わかんないけど、見飽きる
ことがない。残念なことに、自家授粉での結実はしにくいようで、勝手に増えてくれることもなく、
この1本を大事に育てています。




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                  Dorstenia sp.nova from Northern Madagascar




うってかわって、こちらは最も薄味のドロステニア(Dorstenia sp.nova from Northern Madagascar)。
はっきり言って、ほとんどそこらへんの草みたいです。名前もついておらず、マダガスカルの北部から
入ってきたという輸入株。検索してもこのタイプは数枚しか画像も出てこず、ほとんど栽培されていないと
思われます。不整形な塊根があり、成長期の夏には葉茎を伸ばしますが、日本の冬には茎も葉も枯れる。
タンザニアの沖に浮かぶ小さな島、ザンジバル原産のドルステニア・ザンジバリカ(Dorstenia zanzibarica)と
ちょっと似た雰囲気があります。関連する種かも知れない。




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しかし、ザンジバリカとも異なり、異彩を放つのがこの花。咲いてるのがわかりますか?
さっきのスペシャル・クリスパと好対照ですが、尖ったポイントは上下に2か所だけ。
まるで幽霊みたいに存在感のない花です。頼りな気な茎と葉っぱとの取り合わせも面白く、
微かな風にもゆらゆらとそよぐ感じがたまらない。これもまた自家授粉しない模様で、今後の来日も
見込まれず(これに商品価値を見出せる業者って?)、過保護な暮らしを送っています。









テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

アボニア・アルストニー

     
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きょうの夕方、この花の咲いているところに出会えたので、この稿を書いています。
なにしろ、長年栽培していても、蕾は毎年見るのに咲いているところに出会うのは何年かに一度。
晴れたの日の午後、日暮れの手前ほんの数時間しか開花しないのです。




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                Avonia quinaria ssp.quinaria = Anacampseros alstonii




アボニア・アルストニー(Avonia alstonii)。むかしは「アナカンプセロス・アルストニー」と
呼ばれていましたが、その後、鱗片状の表皮(托葉)をもつグループがアボニアとして別属に分離されました。
さらにややこしいことを言うと、白い花のタイプとピンクの花のタイプ(上の写真)があり、
それぞれを分けて、

白花タイプ Avonia quinaria ssp.alstonii
桃花タイプ Avonia quinaria ssp.quinaria

とするのが最新の分類のようです。ただ両者はとても似ていて、上記写真の「クイナリア・クイナリア」は、
白花の「クリナリア・アルストニー」として私のところにやってきたもの。でも、咲いてみたら桃花でした。

塊根のうえに芝生のような細い茎葉が密生し、ゴルフで激しくダフったときのターフみたいな形状です。
自生地のナミビア、南アフリカでは塊根部は完全に埋まっていて、ごく短い葉の部分だけが地上に出ています。
上の写真の株は国内で10年くらい育てていますが、茎葉が伸びすぎてしまっていて、野生株とは異なる姿です。

ちなみに、最近この種に「群蚕」という和名をあてる解説を見かけます。流通上も混乱が見られますが、かつて
国内でそう呼ばれていた植物はAvonia ustulataだと思われます。一見よく似ていますが、茎節がより細長く、
うねって絡み合うように育ち、塊根は円盤状に大きくは発達しません。




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                Avonia quinaria ssp.alstonii white flower form




で、こちらは今年のはじめに入手した荒木で、白花タイプ(アルストニー)として入手したもの。
倒円錐型(コマ型)の塊根の帳面は平べったくなっていて、そこに短い葉茎が密生。ダフったターフです。
国内で作りこんだ株と比べると姿がぜんぜん異なり、葉っぱの長さは5mmくらいしかありません。
この植物の本体は質量を比較してもわかるように、塊根の部分にあります。なので、この塊根を健康な状態に
保つことが大切です。本来は地中に埋めたほうが良いのですが、多少は鑑賞したいので、三分の一くらい
見えるような形で植えつけました。化粧砂を明るい色にしているのにも訳があって、夏場に地表面が
熱くなり過ぎて塊根が痛むのを避ける意味があります。黒系の化粧砂は見栄えが良いですが、冬型多肉には
適さない場合がありますね。




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植えつけて2か月ほどで十分に発根。水をやったのは3回くらいですが吸水して塊茎部分に張りが出てきました。
葉茎も生気が戻ってきて緑色になっています。ここで調子にのって水をどんどんやると元気に膨らむのですが、
3~5cmくらいも茎葉が伸びてしまい、ボーボーのだらしない姿になってしまう。先の開花株はそうなって
しまっていますが、こちらはなんとか自生地ルックを維持したいと思っています。




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アボニアの原産地はナミビアや南アで、メセン類などと同様、典型的な冬型多肉植物の自生環境です。
ただ、コノフィツム等のようには厳密でなく、一年を通じていちばん元気なのは3~5月と10~11月です。
真冬も水は切りませんが、土が氷結しないように管理しています。また入梅から猛暑期は遮光した風通しの良い
場所で休眠させます(水は月に一度お湿り程度)。いまの時期に元気よく育てると、どんどん蕾をあげますが、
先に述べたように、夕方の一瞬しか咲かないので、勤め人をやっていると花を見るチャンスに恵まれません。


今週末は、雨がふったりやんだり、曇っていたり、あまり天気も良くなかったのですが、きょう夕方になってから
すっと陽が射してきました。アボニアの美しい花も咲いて、時が過ぎるのが惜しい日曜の午後でした。









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パキポディウム・光堂 Pachypodium namaquanum


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                  Pachypodium namaquanum in full bloom




桜の花よりひと足早く、パキポディウム・光堂(Pachypodium namaquanum)が満開を迎えました。
種から育てて20年ほどの株で、高さは60cm。温室の特等席に巨体を納めています。
去年の12月に蕾を確認してから、かれこれ4か月かかっての開花です。




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                  The buds appeared in December




光堂は、学名のとおり南アフリカのナマクアランドが原産地で、成長期は秋から春(初夏)です。
同じエリアには、リトープス等のメセン類、冬型の塊根植物や球根などが生えています。
グラキリウスなどマダガスカル原産のパキポディウムは完全な夏型ですが、これらとは反対。
光堂が育てにくい、花が咲きにくいと思われているのは、この成長サイクルに理由があります。
夏型コーデックスは休眠期の冬は水を切って休ませますが、光堂にこれはあてはまりません。
一方で、しっかり成長・開花させるためにはマダガスカル原産種以上に冬の温度管理が重要です。




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                 In February, the buds are ready to burst !!




この写真は2月に撮影したものですが、12月よりも蕾がぐっと膨らんでいます。
12月から2月という、日本のいちばん寒い時期に、植物が十分な活性を保てるような環境を
維持することが必要です。光堂は耐寒性そのものが強く、氷点下になっても枯れませんが、
それは枯れないだけで、育つという意味ではありません。凍るような環境では灌水が出来ず、
水を与えなければ元気よく育たないし花も咲きません。
この株は、最低温度6度の加温温室で、陽の良く当たる場所に置き、12~2月も2~3週間に
一度灌水しています。それでも、日照時間が短かったり、寒い日が続いたりする年には、
蕾が落ちてしまうことも。この株が最初の花をつけたのは高さ20cmくらいの時ですが、
その後も毎年咲いているわけではありません。




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                 Just started blooming in March




今回、咲き始めたのは3月の初旬。満開になった今の時点でも葉は青々と茂ったままです。
これが寒さにあたって褐変したり落葉するようだと蕾も落ちることが多い。
秋から春に成長する冬型種は、休眠する夏型種以上に、冬の日照と暖かさ(暑さではない)が
必要なのです。花は黄緑色で、直立させたホタルブクロのような形状。内弁はあずき色。
短い花梗で群がり咲く感じは、ほかのパキポディウムにはない姿ですね。




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                   In full bloom, late March




光堂は、先週から今週にかけて、満開になりました。ぐるっと一周、輪になって咲く感じが、華やかなさを
引き立てます。蕾のなかには途中で萎んでしまったものもありましたが、合計で30輪以上の花が咲きました。
花弁の外側はもけもけしていますが、内側のあずき色に染まった部分には艶があり、精密な印象。
このままずっと眺めていたいくらいでしたが、今年はもう一株、少し小さ目の実生育成株が咲いていたため、
種とりに挑戦することにしました。私のところでは、光堂が二株が同時に咲くことはめったにないのです。




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               Hand pollination with thin line, like whisker of animal or fishing line




花は他のキョウチクトウ科の仲間と同様に独特の構造を持っています。
花弁の奥では雄蕊(付属体)が閉じ合わさったような形になっていて、中の雌蕊は見えない。
授粉は、作業がしやすいように、花弁を切り取りってからはじめます。筆などは使えないので、
細くてある程度の硬さのある糸状のものを中に差し込みます。糸の先に花粉をつけたら、
もう一つの花に同じように差し込んで花粉をつけます。雌蕊は閉じ合わさった雄蕊のさらに奥なので、
切開して露出させる人もいますが、よほどうまくやらないと傷つける恐れがあります。
そのため私はこの状態で糸を差し込んでコチョコチョするだけ。光堂はほかのパキポディウムより
結実しにくいようで、過去には成功していませんが、今回は沢山咲いて、沢山授粉したから・・・。
ちょっと期待しています。




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                   This plant is 20years old, grown from seed.




さて、花が終われば、ほどなく葉が枯れ落ちて、次の成長期までのインターバルに入ります。
春だ、成長期だ、と思ってじゃんじゃん水を与えると、実は休眠期に入るところだったりする訳ですね。
といっても、初夏の頃には新しい葉が現れて再び動き出すので、そのあたりが紛らわしいところ。
コノフィツムのように厳密に秋から春に動くのではなく、初夏に新葉を出すところがポイントです。
落葉したらしばらく水を切って、新葉が出てきたら灌水します。梅雨の長雨にはあてないように
温室内等で休ませ、7月下旬から10月までは屋外に出して、直射日光と風にたっぷりあてます。
それで20年、故障なく育ってきました。


さて、あとは結実を期待するのみです。











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沙漠植物、栽培、探究。

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