霊験あらたかな石。

      
秋から春に色鮮やかな花で楽しませてくれるメセンの仲間。
今回はコノフィツムやリトープス以外からいくつかご覧いただければと思います。
いずれも花だけでなく、植物そのものも興味深い姿や生態のものばかりです。




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                 Titanopsis hugo-schlechteri M.1872.1 60 km NE Kliprand




チタノプシスの天女扇(Titanopsis hugo-schlechteri)は、擬態植物として有名です。ほぼ地平面に這うように
展開する厚肉の葉は、自生地の砂や石くれと同じ色調、パターンで、身を隠します。古くから作られているので、
ややもすると駄もの扱いする人もいますが、夏の過湿に弱いので、外葉を枯らさないように大きな株に仕立てるには
相応のテクニックが必要。夏型扱いする人もいますが、私は秋~春に育てています。寒さには大変強く、厳寒期に
つぎつぎと開花します。根は太くなるけれど、塊根として鑑賞するのは難しいかな。




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                 Mitrophyllum clivorum M.1779.39 Komaggas




ミトロフィルム、というメセン自体があまり知られていませんが、姿や生態がとても面白い植物です。
このクリボルム(Mitrophyllum clivorum)は、なかでは小型の部類。大型種は高さ50cmくらいまで育ちます。
成長期は写真のように赤茶色の幹(茎)の部分から、ゴムのように柔らかい葉を展開します。
春の終わりに柔らかい葉は枯れ、その年伸びた分の茎が残る。モニラリア(Monilaria)に近いグループなので
成長パターンもちょっと似ていますね。コーデックス的な味わいのあるメセンです。ユニークなのは、休眠期に
茎のてっぺんに翌年展開するための葉っぱがセットされる点で、これはかなりの奇態です。
なかなか言葉では説明しにくいので、興味あれば画像検索してみてください。
栽培は難しくありませんが葉の落ちた休眠期は完全断水。秋~春はたっぷり灌水。寒さは少し苦手。




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                 Didymaotus lapidiformis SB627  Ceres Karoo,South Cape




最後はムイリアと並ぶ難物、珍奇種と言うべきディディマオタス(Didymaotus lapidiformis)。
この属にはこれ一種しかなく、「霊石」というちょっと不気味な名前がついています。霊験あらたかな植物かどうかは
わかりませんが、世にも奇妙な植物であることは間違いない。対に展開した葉の間から、次の葉が覗いた状態、
このシンメトリーな姿が基本形です。そして、このメインの葉の両脇には、同じようなデザインの小さい“葉”が、
それぞれ生じます。さらにここから花茎を伸ばして、両手に捧げもつように金属光沢あるピンクの大輪をひらく。
写真の株は片側からしか咲いていませんが、両側から同時に開花すると、一層奇妙な感じになります。
花は株の中心ではなく、この両脇からしか咲かず、花のつけ根は実は葉ではないので分頭したりはしない。
国内栽培では緑色ですが、自生地の強光線のもとでは、錆びたような赤に色づき、大地と一体化します。
夏の灌水では腐りやすく、成長期も水は少なめに育てますが、言われてきたほど難物ではありません。
小さな鉢植えなのに、なんというか重たい存在感があって、実にカッコいい植物です。













テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

メセンの春。

    
きょうは春一番が吹いて、気温も20度を超えました。
温室内はTシャツ一枚でも汗ばむほど。ほどなく、休眠中のサボテンたちもほどなく動き始めるでしょう。
一方で、秋~春に動く南アフリカの植物たち、メセンや球根類などは成長期最後の輝きを放っています。




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                    Fenestraria rhopalophylla ssp. aurantiaca cv.Fireworth



五十鈴玉(Fenestraria rhopalophylla ssp. aurantiaca cv.Fireworth=朱鈴玉)。
透明な窓を持つ多肉植物はいろいろありますが、その典型例のひとつ、五十鈴玉の鮮やかなオレンジ色花タイプです。
窓のある多肉植物は、メセンでもハオルチアでも、頂部の透明な窓から光を取り入れて光合成するので、その他の部分は
光線や乾燥から守るため地中に隠していることが多い。この五十鈴玉も、自生地では砂に埋もれるように生えていて、
棒状の葉は、てっぺんの丸い窓の部分だけが露出しています。栽培では、株元を鉢上に出している人が多いですが、
それではこの種の魅力は半減してしまう。写真の株も吸水して少し球体が出ていますね。でも、夏場はぐっと潜ります。
埋めると腐る、という人もいますが、この種に限ってはその心配はない。夏場断水すれば丈夫な植物です。




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                    Conophytum pellucidum '.pardicolor' SH624



続いても、窓のあるメセンです。
コノフィツム・ペルシダム・パルディカラー(Conophytum pellucidum 'pardicolor' SH624)。
ちょっと見、リトープスか、オフタルモ系みたいに見える、大型のペルシ。頑丈でもりもり群生するので迫力あります。
なんとなく、海中の生物みたいにも見える。子どもに見せたら、食べてみたいと言ってました。なるほど。
おそらくこの種なども、自生地では潜るように生えているのでしょう。寄せ植えをバラしたら、埋めてみるか。




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                    Sphalmanthus resurgens=Phyllobolus resurgens



こちらはコーデックス(塊茎)メセン。
スパルマンサス・レスルゲンス(Sphalmanthus resurgens=Phyllobolus resurgens)。
最成長期ゆえ葉っぱが密生しているので、よく見えませんが、身がつまってゴツゴツしたカッコいい塊茎が隠れてます。
葉っぱには小さな水玉のような液胞が散りばめられていて、キラキラ輝いて見えます。
コーデックスゆえに、ほかのメセンのように葉挿しや株分けで増やしにくいので種から育てることになりますが
成長は遅く、これで実生から10年くらい経っています。最近は種の入手も難しいので自分で増やそうと思うのですが、
花の構造が特殊(柱頭が潜っている)でなかなかうまく授粉できません。




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                       Monilaria chrysoleuca



モニラリア・クリソレウカ(Monilaria chrysoleuca)も同じように、葉っぱにキラキラを持つメセンです。
こちらも毎年葉を落とした後が、節を重ねるように残り、コーデックス的な味わいがあります。やはり葉挿しや枝ざしは
困難で、1年でひと節しか育ちませんから、これで十数年は経過しています(地中に埋まっている節も含めて)。
ほんとうは満開のときに撮影できれば良かったんだけど、今年1月の猛烈寒波で、蕾が凍って駄目になってしまいました。
そのときの最低気温は氷点下5度。枯れはしなかったけれど、大半のメセンは変化なしだったので、モニラリアや
ミトロフィルム(Mitrophyllum 葉が萎れた)は比較的低温に敏感と言えるかもしれません。




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                         Lithops optica 'Rubra' C81A



最後は、紫のリトープス、紅大内玉(Lithops optica 'Rubra' C81A)。
リトープスの中では、もっとも動き出すのが遅く、開花するのは日本では厳冬期の12~1月。脱皮の完了も他のリトより遅い。
そのせいか、夏の暑さに敏感で、大きく育った群生株など、腐らせてしまうことがあります。
リトープスは一般的に丈夫な植物ですが、この紅大内は留蝶玉(L.ruschiorum)ほどではないですが、やや気難しい。
そんなこともあって、標本維持のためにたくさん実生しています。花はプレーンな白だけど、キャンデーのような球体から、
一斉に咲くとなかなか見事でした。日が暮れるまで花を眺めて過ごす、幸福な休日。















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メセンをお忘れなく。

      
空前の多肉ブームなんだそうです。
先日、雨降りの日に五反田のビッグバザールを覗いてきましたが、若い人も大勢詰めかけていました。
私が20代の頃には、同世代なんて数えるほどしかいなかったから、確かに裾野が広がっているんですね。
やっぱり人気があるのはハオルチア。それにエケベリア。南アの球根類や最近輸入の増えた塊茎類を
集める人もけっこういるようです。自然界でも稀少なパキポディウムなど、大切に育ててほしいです。
一方で、長年多肉栽培の中心的存在だったメセン類は、少し人気の外にあるように感じました。
ハオルチアのように、園芸的選抜で付加価値をつけていくのが難しいからか。あるいは、明確な冬型ゆえに、
慣れない人には育てにくいからかな。秋冬の栽培場のスターは、やっぱりメセンだろう、って思うのですが。
というわけで、きょうは育てやすい丈夫なメセンを紹介します。




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                    Imitaria muirii=Gibbaeum nebrownii PB 1268 Kareevlakte




イミタリア・ムイリー(Imitaria muirii=Gibbaeum nebrownii PB 1268 Kareevlakte)。
いまはギバエウム・ネブロウニーと呼ぶ人の方が多いかも知れない。いや、そのどちらの名前も知らない
多肉ファンの方がずっと多いかな。
ギバエウムはいわゆる玉型メセンの中では、特長が掴みにくく、興味をもたれにくい仲間です。
はっきり言えばマイナー。しばしば栽培されているのは無比玉(G.dispar)くらいでしょうか。
ネブロウニーは、丸々とした二つの葉が合着していて、一見すると大振りのコノフィツムのような雰囲気です。
球体は産毛が密生し、光線が強いと赤みを帯びて美しい。太陽にかざすとうっすら半透明で光を通します。
花つきもよく、性質はたいへん丈夫で、リトープスが溶けたりコノフィツムが干からびるような環境でも
夏越ししてくれます。ギバエウムには白魔(G.album )という種があり、これは有名な珍奇植物でもある
難物メセンのムイリア・ホルテンセ(宝輝玉 Muiria hortenseae)と同じ場所に生えています。
両者の自然交雑種(XMuirio-gibbaeum)も混生するそうです。ネブロウニーは丈夫ですが、うぶ毛に覆われた
球体のテクスチャは、ちょっとホルテンセに似ています。実は、ホルテンセも、育ててみると案外丈夫ですが。




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                    Conophytum verrucosum CM142 Sidi Barani




このベルコーサム(Conophytum verrucosum CM142 Sidi Barani)は、メジャーなメセンに入るでしょうか。
むかしは オフタルモフィルム属(Ophthalmophyllum)に入っていました。この仲間は、窓があるものが多く、
比較的大柄なので夏越しもさせやすい。なかでも、ベルコーサムはたいへん丈夫で、風通しのよい遮光下に
置いて、水を切っておけば腐ることはめったにない。球体は赤銅色で、頂面の表皮はザラザラすることが
多いのですが、このタイプは比較的平滑。写真のように、太陽に透かすと透明感があって美しい。
オフタルモの仲間は古くなると群生するものが多いのですが、ベルコーサムは水をやりすぎなければ、
長いあいだ単頭のままで育ちます。開花サイズになったあとは、ほとんどサイズも変わらないまま、
何年も何年も旧葉と新葉の入れ替わりだけを繰り返す。それがなんとも枯れた感じでいいんだな。




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                    Argyroderma framesii ssp.hallii TS&PD 955 Rooiberg




最後は、こちらも丈夫なアルギロデルマ・フラメシー(Argyroderma framesii ssp.hallii TS&PD 955 Rooiberg)。
この属の金鈴(A.roseum ssp.delaetii)は、昔から、メセン入門者向けの代表種みたいな感じで育てられてきました。
ツヤがある青磁の肌と、丹精な姿は、なんとなく育てにくそうにも見えるのですが、休眠期も水を切っておけば
溶けることもないし、リトープスのように二重脱皮を起こすこともまずない。丈夫です。
色々な種類がありますが、基本的には葉っぱの形や大きさ長さの違い、花色の違いで、特徴である肌の質感は
だいたい似たようなものです。なので、この属を片っ端から集めようというのはかなり筋金入りのマニアですね。
私のところには、3種類くらいしかない。この個体は、メセンスタディグループの配布種の実生で、こんな風に
花弁が風車のようにねじれるタイプのようです。この属にはこうした黄花のほか、白花やピンク花もあります。

サボテン作業も休みに入ったこの時期、栽培場の華は、やっぱりメセン類です。花もきれいだし。
私はもともと、サボテンの裏作からメセンに入門した口ですが、それでも、今挙げたような種類なら十分育ちますよ。












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沙漠植物、栽培、探究。

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