太陽の露 Pygmy sundew

   
モウセンゴケ、むかしから好きなのです。
太陽の露(sundew)という呼び名も素敵ですよね。

小さい頃、尾瀬の湿原で、葉っぱの先にキラキラひかる水玉を
たくさんつけた植物をみつけて、おもわず木道から飛び降りて
怒られたことがある。それから、ずっと惹かれてました。




resize4071.jpg
               'Pygmy sundew'



いろんな植物を育ててきたなかで、いくどか手元に置いたことも
あります。より珍しい姿のものが欲しくて、5年くらい前には、
海外から球根ドロセラを輸入しましたが、うまくいかなかった。

それで今年は、栽培しやすいといわれるピグミードロセラに
手を出してみました。ヤフオクで、7種類で2000円とかで、
ムカゴを分けて貰いました。最近のサボテン多肉の高騰ぶりに
比べると、良心的な価格設定です。




resize4086.jpg

resize4089.jpg
               propagules of Pygmy Drosera



ムカゴまきをしたのは今年1月。とどいたムカゴはサボテンの
種とかわらない小さいもの。緑色を保っているものと、茶色い
ものがあります。送られてきたときは、濡れティッシュで保湿
されていました。さて、これが発芽するのかな。

蒔くために特別に用意したものはありません。サボテン多肉に
使っているプラ鉢(プレステラ深)に、サボテン多肉用に混ぜた
土を2/3まで入れて、表面には赤玉細流・川砂・ピートモスを
等量に混ぜた土を、薄く敷きました。
オーストラリアの自生地などを見ると、貧栄養の酸性砂地風で、
ユーベルマニアあたりの自生地とも似た感じなので、そんな
配合にしてみました。




resize4093.jpg

resize4097.jpg
               sowing tiny propagules with tweezers



とにかく小さいので、ピンセットでひとつひとつ置いていく。
潰さない力加減が難しいので、指先が震えてしまいます。
コケの繁茂を防ぐために、鉢をレンジで加熱してから、播種。
ではなかった、ムカゴ蒔きをしました。鉢は腰水して、ラップ
をかぶせて明るい窓辺に置きました。

2週間くらいすると、動きがいくつかの鉢で発芽が確認され、
そのあと1か月くらいまでのあいだにすべての種が、発芽。
なかなか優秀です。新芽はほんとに小さくてコノフィツムの
実生のようです。ほぼ出そろった播種から2か月くらいで、
ラップをはがしました。




resize4059_2018061718051634f.jpg

resize4066_20180617180522e57.jpg
                2 months have passed since sowing propagules



そしてこれが写真は、ムカゴ蒔きから、2か月経ったところ。
それらしい姿になってきて、試みてよかったなと思った頃です。
ピグミードロセラの自生地は、比較的乾燥しがちで、日射も
強く、多くの多肉植物の生育環境と共通する部分が大きい。
ですが、植物体があまりにもか細いので、屋外栽培には
なかなか踏み切れず、今も日の当たる窓辺に置いたままです。




resize4075.jpg
               Drosera pulchella red fl.
resize4079_2018061718094132f.jpg
               Drosera nitidula hyb.               
resize4081.jpg
               Drosera scorpioides
resize4072_20180617180901b92.jpg
               Drosera pygmaea



半年ほどたった今は、すっかりモウセンゴケらしい姿に。
立ち上がる種類は3cmくらいに育って、小型種はつぎつぎに
開花しています。
室内栽培なので、捕まえる虫がいないのが可哀想ですが、
外に出すのもどうなのか、ちょっと過保護な気持ちで迷って
いるところです。










テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

野生の兜。

     
兜といえば、サボテンのなかのサボテン。知らない人はいないでしょう。
扁平な球体を飾る白点、幾何学的に連なる毛疣状のアレオレ。
ただメキシコの自生地に生えている原種の兜は、いま世界の愛好家が
栽培しているものとは、顔立ちがかなり違います。




resize4038.jpg
       Astorophytum asterias original wild form (seed grown), from Gonzales, Tamaulipas




上の写真の兜は、白点も疎らで、毛疣も小さい。実に地味な顔立ちです。
名人のハウスではまず見かけないタイプで、競りに出しても、値段がつかない。
ですが、人の手の加わっていない野生そのままの原種の兜はこんな感じです。
びっしり球体を覆った白点や、巨大な毛疣が隙間なく連なった最近の兜と
見比べると、同じ植物とはちょっと思えないくらいですが。




resize4029.jpg
          Astorophytum asterias classic elegant specimen (picture taken in 1970's)




こちらの写真はむかしの専門誌に載っていた、昭和の時代の最高タイプの兜。
白点の密度にアレオレの大きさ、当時の水準では、素晴らしい標本でした。
同じころ、メキシコからは沢山の兜の山木が輸入されはじめました。それこそ、
何千本単位で、最近のグラキリスみたいな感じです。愛好家は先を争って
特徴の顕著な株を求め、なかにはスーパー兜のような特異な個体もありました。
そしてその頃から、白点が密で、大きなアレオレが連なったタイプを追求する
本格的な育種改良も始まったのです。

その頃小学生だった私も、お年玉をかき集めて1本3万円もする山木の兜を
買ったことがあります。郵便小包で届いたのは、乾いた煎餅みたいな代物でしたが、
発根して膨らんだ時、そして最初の花をつけたと時の感動は忘れられません。
3年くらいたって枯らしてしまったときは、涙が出たなぁ。




resize4041.jpg

resize4036.jpg

resize4034.jpg
          Astorophytum asterias original wild form (seed grown), from Gonzales, Tamaulipas




この兜は、その当時と同じ、原種のままの兜、素朴な顔の兜が欲しくて、
種をとりよせて育てたものです。星を散りばめた夜空のような青肌で、
アレオレもひとつひとつ手で置いたように並んでいます。
白さとインパクトを追い求めて来た日本の兜とは別物のようです。
兄弟それぞれ、ちがった雰囲気をまとっていて、淡泊な顔立ちだけど、
なかなかハンサムだと思います。
かつて、たくさんの兜を日本にも送り出したメキシコ・タマウリパス州の
ゴンサレスの自生地を、ヨーロッパの愛好家が訪ねて採取したもので、
市場に出回らないという意味では、真っ白な兜より得難いかも知れません。




resize4055.jpg

resize4050.jpg
          Astorophytum asterias from Heinz Swoboda's collection, near the shore of Tmaulipas



こちらの兜も、上のものとは異なりますが、山採りの親株同士で稔らせた種として
入手したもので、まあ野生兜といっていいかと思います。同じタマウリパス州の
もっと海に近い産地だということですが、親株を交配するときに多少園芸家の意思が
働いたのか、白点が多めです。このくらいの白点のつきぐあいは許せるけれど、
個人的な好みでいえば、最初に紹介したタイプの方が、なんか気持ちいい。
日本でも、当時たくさん入ったカイエス産の兜を純系保存している方がいると聞いた
ことがあります。いつまでも大切に残してもらえたらと思います。




resize4033.jpg




実はまだ、私は兜の自生地を見に行ったことがありません。テキサスで生えている
場所の近くまで行きましたが、住宅地に近い場所なので撃たれるぞ、と脅かされて
訪ねずじまいでした。アメリカで見る方が易しい、と昔の本には書いてあったんだけど。

地面にうまった煎餅みたいなサボテンに、会いに行ける日はいつのことか。
はじめて出会った時と同じ、素顔の兜に会いたい。








テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

今年も種を蒔きました。


先週、種まきをしました。
やり方は、ここ十年くらい変わりません。
透明プラのトレイ(衣装ケース)に、鉢を並べて、腰水をして蓋をかぶせておわり。
それでも、衣装ケースふたつぶんの作業で、半日はたっぷりかかります。




resize4006.jpg




まずは名札書きからです。これもむかしはプラの名札に油性マーカーで書いていた。
でも、インクは経年劣化で読めなくなるので、途中からは鉛筆書きにしました。
いまは、上の写真のように、ラベルライターで名札を印刷します。
屋外用のシールを使うと、10年近く劣化なく読み取れる状態を保ってくれます。
今年は、サボテンでは太平丸とコピアポアにほぼ特化して蒔きました。
チェコの業者からの輸入種子です。太平丸だけで、↓これだけ頼みました。
いくつか品切れあったと思うけど、ほぼ届きました。ちょっと面白いので列挙すると、


N0219 Echinocactus horizonthalonius Las Delicias, Durango 10 2,2 
N0238 Echinocactus horizonthalonius VM General Cepeda, Coah. 10 1,4 
N1621 Echinocactus horizonthalonius K? 43 Valle de Rosario, Chih. 10 2,4 
N0082 Echinocactus horizonthalonius JABO 32 Tula, Tamaulipas 10 1,2 
N0150 Echinocactus horizonthalonius JABO 33 Artega, Coah. 10 1,2 
N0191 Echinocactus horizonthalonius KMR 85 Sierra de la Paila, Coah. 10 1,4 
N1628 Echinocactus horizonthalonius VZD 690 Arroyo de Cruces, Durango 10 2
N00472 Echinocactus horizonthalonius VZD 390 Rancho San Geronimo, Coah. 10 1,6 
N00474 Echinocactus horizonthalonius VZD 0063 Saltilo- Toreon km 132, Coah. 10 1,4 
N1626 Echinocactus horizonthalonius VZD 257 NW of Cuba, Durango 10 2
N1705 Echinocactus horizonthalonius VZD 847 La Encantada, Coah. 10 1,4 
N1711 Echinocactus horizonthalonius VZD 932 La Mejorada, Zac. 10 1,5 
N0155 Echinocactus horizonthalonius RC 73 San Rafael, Coah. 10 1,2  
N1703 Echinocactus horizonthalonius RC 95 El Casco, Durango 10 1,2  
N1000 Echinocactus horizonthalonius VM 600 Pozos, Guan. 10 2
N1001 Echinocactus horizonthalonius VM Sandia Chica 10 1,6 
N0090 Echinocactus horizonthalonius v. subikii CH 485 E of Ejido Soledad, NL 10 1,4


ヨーロッパでは、産地データとリンクさせて植物をコレクションする人が多いため、
こうした形で種子が売られています。太平丸は、産地が異なると、まるで顔が違ってくる
サボテンですが、国内ではあれこれ雑交されています。そこで輸入種子を実生して、
オリジナル再現を目指すわけです。ほんとは自分で自生地まで種を採りにゆければ
最高だろうけど、なかなか実現できませんね。




resize4010.jpg

resize4012.jpg
               ready for sowing seeds!



今年の実生は、太平丸、コピアポア、他いくつかのカクタスで、トレイひとつ。
もうひとつのトレイは、すこし大き目の蒔き鉢で、パキポディウムを中心に
多肉・塊根類の種を蒔きます。こちらは大半が自分の栽培場で採種したもの。
むかしは、蒔き土を熱湯消毒したりしましたが、いまは面倒なので、成株と同じ
培養土のうえに、薄く表土を敷いて、そのままバラ蒔きします。
表土は、ピートモスを中心にした市販の「種まき用土」を赤玉細粒(芝目土)で
半分くらいに割ったものを使っています。ピートがあると、根がからんで
小さい種も育ちやすい。




resize4015.jpg
               spraying fungicides(thiuram) after sowing seeds



種を蒔き終わったら、殺菌剤を噴霧します。あらかじめ土を消毒していないので、
これは不可欠。ホーマイを規定量に薄めて使っています。この薬はコケの生育を
阻害するらしく、鉢内にコケがはびこるのを防いでくれます。しかし、量が多いと、
発芽した苗の成長が止まるので、注意が必要です。

それから1週間。きょう、蓋をとって様子を見てみると・・・




resize4023.jpg
               Just hatch out ! a week passed since sowing seeds
resize4024.jpg
               Pachypodium eburneum
resize4022.jpg
               Idria columnaris



パキポディウムは一斉に発芽がはじまっていました。
蒔いたのは、グラキリウス、ブレビカウレ、白花ブレビカウレ、エブレネウム、
バロニー・ウィンゾリ、光堂など。どういうわけがウィンゾリが発芽ゼロ。
なにか種に問題があるのかも知れません。イドリア・コルムナリスや光堂は
秋冬型なので、出揃ったら、すこし涼しい場所に移してやります。
サボテンたちは、まだほとんど発芽していません。もともと太平丸なんかは
発芽しにくいので、2週間くらい経たないと動かないことが多い。気長に待つ。




resize4020.jpg
               Pachypodium brevicaule just one year old
resize4021.jpg
               Pachypodium makayense just one year old



こちらは去年蒔きのパキポディウムです。
ブレビカウレは、まだ1cmにもならないちびっこですが、マカイエンセなどは
既にそれらしい姿になりつつあります。




resize4019.jpg
               Pachypodium rosulatum ssp.gracilis 2years from seed
resize4018.jpg
               Pachypodium brevicaule ssp. leucoxanthum 4years from seed



2年、3年とたてばさらにそれらしくなってきます。うちは露天に放っぽりだして、
水やりも天まかせという育て方なので、成長ペースは遅い。グラキリウスは2年で
このサイズ。すでに鉢上げした白花ブレビカウレは丸4年経っているはずですが、
去年から咲いています。育てば育つほど場所をとるのが悩ましいですが、大きく
育っていくプロセスを間近で眺めるのは実に楽しいものです。

サボテン・多肉植物の種まき、実は1996年から1年も休みなく続けています。
私にとって、植物栽培の最大の楽しみは、種から育てて、野生株にまけない
標本を育成すること。既に栽培場の8割くらいが、自分で種から育てた植物で
埋まりつつあり、二十余年を経て、ようやくゴールが見えてきたものもあります。
そんなに執念深い性格でもないんですが、よく続いてますよね。














テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物、栽培、探究。

最新記事
全記事表示を読む

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カレンダー
05 | 2018/06 | 07
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
Excite自動翻訳
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる