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秋の花。


今週は所要で更新作業ができないため、
いっかいお休みです。
ちょうど栽培場では、こんな秋の花たちが
咲き始めた頃ですね。




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 Ariocarpus retusus 'confusus' SB1426, Marmelajo, Nuevo Leon



赤花三角牡丹。
日本ではそう紹介されたコンフューサス。
sp.アランベリ、と呼ばれていたことも。
岩牡丹・三角牡丹ファミリーの1タイプですが、
この花色が目を惹きます。
おなじロットの実生苗からは3割くらい、
白黄色花の個体も出現しました。
栽培場でも、なかなかふっくらしなくて、
ちょっとだけ気難しい印象のアリオカルプス。







テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

神津島の野生ラン


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 夏の週末旅で訪れた伊豆七島・神津島でみた植物です。
今回は主に葉模様の美しい地生ラン、国産のジュエルオーキッドたちを探しました。日本の野山でも、やっぱり植物探訪は楽しい。特定の植物を探し求めながら山歩きをすると、時間がいくらあっても足りません。




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 神津島の緯度は、三重県の伊勢志摩あたりより少し南くらい。本州の植生と大きくは変わりません。小さな島ですが、標高572mの天上山が偉容を誇ります。1000年ほど前の大噴火で生成された溶岩ドームと、火砕丘からなる火山で、海からも見える剥き出しの岩肌が強烈な印象を与えます。風化しやすい地質と、海からの強風。こうした特異な条件から、山頂付近は森林限界を超えた高山のような、沙漠を思わせる疎らな植生になっています。花の百名山にも選ばれているこの山に登りました。




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   Goodyera velutina



 登りはじめ、裾野から5合目くらいは、スダジイやタブノキが生えていて、関東南部の照葉樹林帯と同じような雰囲気です。多雨なのでシダ類も多い。本来は藪のなかにガシガシ分け入っていきたいところですが、家族同伴なので登山道沿いの林床に目を配ります。地生ランのなかで最も目につくのがシュスラン(Goodyera velutina)です。ビロードのような美しい葉は、中央の白い線が目立ち、国産ジュエルオーキッドと呼ぶに相応しい。このシュスランは、とにかく小さい苗から、茎が匍匐する大きなものまで、凄く沢山あります。私のサボテン栽培場がある関東南部付近の山にも分布していますが、これだけ広範囲にこの密度で生えていることはありません。蕾を上げている個体も多く、もうちょっと後なら花が見られたなぁ、と。




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   Goodyera foliosa var. laevis
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   Zeuxine agyokuana ?



 数は多くないですが、シュスランと草姿は似ているけれど、葉の白い線がない植物も見つかります。言われなければ、ランの仲間だとは気づかない人も多いかも知れない。これらの同定はなかなか難しく、私も写真を詳しい人に見て貰いました。上の2つはよく似ていますが、1枚目はアケボノシュスラン(Goodyera foliosa var. laevis)、2枚目はオオシマシュスラン(Goodyera hachijoensisi var. hachijoensisi forma izuohsimensis)かと思ったのですが、カゲロウラン(Zeuxine agyokuana)かも知れないとのこと。花がないと断定しにくいです。前者は白線入りのシュスランと同属ですが、後者がカゲロウランなら属も異なる植物。検索してもらえばわかりますが、カゲロウランはおもちゃの飛行機のような面白い花が咲くので、開花していれば確実に同定できたと思うのですが。これらは、いずれも照葉樹林帯の林床で堆積した落ち葉になかば埋もれるように生えてます。どちらも、シュスランに比べればごく数は少ない印象でした。




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   Goodyera hachijoensis Yatabe var. hachijoensis



 こちらは、模様がハッキリしているのでわかりやすい、ハチジョウシュスラン(Goodyera hachijoensis Yatabe var. hachijoensis)。葉の全体に網目模様がかかるカゴメラン(Goodyera hachijoensis var. matsumurana)も分布しているはずですが、今回は見つかりませんでした。これらは、シュスランよりも亜熱帯性のようで、以前、奄美大島を訪ねた際には沢山見ることが出来ました。関東南部にも分布しますが、稀れで、私はまだ見たことがありません。このあたりは、ジュエルオーキッド感もあって、植物の鑑賞眼がある人なら、山歩き中にも目を留めると思います。




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   Tainia laxiflora
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   Liparis nervosa



 葉姿の印象は異なりますが、やはり美しい紋様が刻まれた葉を展開していたのは、ヒトメケンラン(Tainia laxiflora)です。樹林帯から、剥き出しの岩肌に移り変わる手前あたりで固まって生えていました。ランらしい美しい黄花を咲かせる植物ですが、早春咲きなので、花を期待するのは無理というもの。でも、この個体は葉模様が強めで魅力的でした。花があれば・・・という意味では、地味ですが、コクラン(Liparis nervosa)も見かけました。こうしたランも、本州の山で探すと、案外見つからないのですが、これらすべて、登山道(遊歩道)沿いで見つけたものです。




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 7合目あたりからは、大きな木がない、高山ぽい(実際は標高500mほど)植生になってきます。大きな木々は急速に姿を消し、ハイネズ(Juniperus conferta)やクロマツ(Pinus thunbergii)が丈低く這い回り、流紋岩が露出しています。海岸沿いの飛び地のように、ハマギク(Chrysanthemum nipponicum)なども目立ちます。こうなってくると、ランなんてないのかなと思いますが、このあたりから沢山見られる種があるのです。




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  Goodyera schlechtendaliana under Juniperus conferta
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   Goodyera schlechtendaliana



 それが、ミヤマウズラ(Goodyera schlechtendaliana)です。本州でも見られる葉模様のとても美しいランですが、ここではなぜか、過酷な荒れ地エリアに数多く生えています。面白いのは、このミヤマウズラが見つけた安住の地。本州では、薄暗い林床で見かけますが、ここではカンカン照りの場所に生えるハイネズの蔭に隠れているのです。なので、ふつうに歩いていてもまず気づかない。ハイネズをぺろっとめくると、こんなふうにだいたい生えているんです。本州で見るものよりも葉色がやや淡く、抹茶クリームのようでとても美しい。




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   Adenophora tashiroi (Adenophora triphylla var. triphylla) pale flower from  
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   Adenophora tashiroi (Adenophora triphylla var. triphylla) dwarf form
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 天上山は、花の百名山にもあげられていますが、それはこの疑似高山的な環境のお花畑のこと。有名なオオシマツツジ(Rhododendron obtusum var. macrogemma)はシーズンではありませんでしたが、強風にひよひよと揺れるシマシャジン(Adenophora triphylla var. triphylla)がたくさん咲いていました。花色の薄いものが多いですが、岩場にはロゼットの丈がぐっと詰まった濃色花の個体もあって楽しませてくれました。今回の私の目当ては林床のランでしたから、余録としては十分です。サボテン探しの沙漠旅が最高なのはもちろんですが、身近な国内でも、植物探訪の醍醐味は十分味わえると実感した一日でした。











テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

夏型多肉、充実の秋 /9.16 BB出品のお知らせ


 夏型の多肉植物は、生育期のラストスパート。開花のエネルギー消耗から回復し、酷暑を乗り越えて新たな葉を茂らせて、緑を濃くしています。多くは、この時期に一年で最も充実している様子です。私のところでは、大半の夏型多肉植物を、9月いっぱいまで屋外で雨曝し陽晒しの環境で育てています。この育て方のメリットについては何度か書きましたが、やはり太くガッシリした、野生株のような姿に育つという点に尽きます。温室育ち、ハウス育ちとは確実に違う姿になります。




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   夏を越え、通年で最も充実した時期を迎えたパキポディウム



 近年、マダガスカル等から大量に植物が輸入されるなかで、長い年月をかけて育った野生株がとても安い値段で売られていることに驚きます。値段の安いものは大事にしてもらえないので、輸入されても枯れていく植物も多いでしょう。原産地国の人たちにとっては、山に生える雑木に過ぎず、もしかしたら畑の野菜よりも価値の低いものに感じられるのかも知れません。実際に種子から育てると、時間も手間もかかって輸入するよりコストがかかるし、なにより今の盛り上がりに供給が間に合わない。それゆえ業者さんは輸入に精を出しても繁殖に力を入れる人は多くない。しかし、これだけ多くの植物が流通する今は、育成派の人にとってもチャンスと言えます。




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 この写真には山木が1本だけ写っています。あとはすべて実生育成株
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 これらはすべて種から育てた植物
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 実生3~4年苗



 たとえでいえば人気のパキポディウム。私のところにも長年栽培している輸入個体がありますが、その数は片手くらいです。十年ちょっと前までは、山木の入手はとても難しかったので、目的は種親の確保でした。だから、なるべく特徴のある、その種の魅力を発揮している株を選びました。既に枯れてしまったものもありますが、それらを種親に自分で育成した株が、いまは栽培場を埋めています。ある程度の大きさに育った株は、どれが山木でどれが内地球か、なかなか判らないでしょう。山木の姿は、自生地で種が落ちた場所が決定しますが、自分で育てる時にはその環境も変えていくことが出来ます。実生苗、若苗は、適応力も高いので、それぞれの顔を見ながら、理想の姿に育て上げていく楽しみがありますね。




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 ユーフォルビアやガガイモも実生から育てやすい
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 奇想天外は種子からしか育てられない



 もちろん、それには時間がかかる。でも、私たちアマチュアは、一刻も早く親木にして手放したいわけではないので、育てるプロセスそのものを楽しむことが出来ます。というかそれが一番面白い。手に乗るような若苗が、少しずつ立派な株に育っていくプロセスそのものが興奮の連続です。子どもを育てるのと同じで、幼い苗や若い苗には、その時代にしかない可愛らしさや魅力があって、ずっとこのままでいてくれよ、と思うことさえあります。とはいえ、こういう植物との向き合い方には、コストもかかります。これも子育てと同じです。完成した標本株を棚1つ分育てるには、その数倍の圃場、バックヤードが必要になります。完成株を買って来れば、素敵な鉢に植えつけて飾ればおしまいですが、それを自分で育てるとなると、場所も時間も数倍かかる。不経済な生産活動そのものです。でも、それだけの魅力があって、やめられないでいます。


 ところで、9月16日(月祝)に東京都 五反田TOCビルで開かれる国際多肉植物協会(I.S.I.J.)のビッグバザール(BB)に、私と、河野忠賢さん(@tadayoshi_kono)で、共同出品することになりました。繁殖した植物を中心に、私が面白いと思うものを、流行りのものも、流行っていないものも、持っていこうと思います。数は多くありません。お時間あればぜひお立ち寄りください。




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●CACTUS AND SUCCULENT BIG BAZAAR IN TOKYO
9月16日(祝)午前9時00分(予定)〜16時 東京都 五反田TOCビル
http://www.ne.jp/asahi/isij/japan












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ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。
著書「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(日本文芸社)」

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