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カニグラとタコグラ

     
 そろそろ、夏型コーデックスのシーズンもおわりです。
 しかし今年は10月に入ってもグラキリウスはおろかバロニーまで青々した葉を飾ったままです。そんなに暖かい日が続いている印象はないのだけど、植物たちのセンサーはヒトとはまた違うのでしょうね。

 今回はうちにあるパキポディウム・グラキリウスの兄弟株の話。
グラといえば、その独特のツボ型シェイプで、いまや観賞植物の王様と言えるくらいメジャーな存在になりました。でも、今回はちょっとその王道を外して、変わった形に育っている株を紹介します。




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          Pachypodium rosulatum ssp.gracilius grown from seed




 まずこの株。よく、コーデックスを鑑賞する際に、A面B面なんて言いますが、この株はA、B、つまり表裏ではあまり変わらない。
 ただ、とても横長に育っていく気質のようで、枝を拡げたようすはハサミをふりかざすカニみたい。なのでカニグラ。鑑賞上の問題は、C面D面が生じてしまうこと。眺めて楽しむうえでは成立しないアングルになります。ですが、A、B面からの長めはボリューム感があって言うことないです。




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 マダガスカルからじゃんじゃん野生株が入ってきている昨今、町の花屋さんでも買えたりするグラキリウスですが、かつてワシントン条約が施行されて暫くは入手が難しかった。マダガスカル政府も当初は採取をちゃんと管理していたので、山採り株はなかなか入らなかったのです。
 市場には幹があまり膨らまない基本種(P.rosulatum ssp.rosulatum)ばかりで、グラキリウス(P.rosulatum ssp.gracilius 和名・象牙の宮)の方は滅多に出ませんでした。なので、我が家のグラはドイツから輸入した種子を実生したものです。発芽して、ちゃんと細葉で幹が太る株が育ってきたときは嬉しかったですね。




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 さて、こちら。葉っぱもグラだし、幹も太るけど、生育途上から異変を来したのがこの株です。塊茎の径が3cmくらい、いい感じに太りだした頃から、やたら枝を出しはじめました。しかもその枝もご丁寧に基部が太る。今では主幹をぐるっとタコの足のように枝が取り囲んでいます。なので、タコグラ。うちに来てグラキリウスがほしいと言う人たちは、違う種類に見えるからかこの株には目もくれないので、まあ売れ残ったのだけど、このくらいのサイズになってみると、まさにビザールプラントという感じ。奇観です。




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 うちにあるグラたちは、みな同じロットの、僅か数十粒の輸入種子からの実生と、その子孫です。ヘンな形に育った株は、上のカニグラと、このタコグラだけ。とくに、タコグラのような姿ものは、輸入される多数のグラキリウスのなかにも見かけません。
 そして、このとてもビザ-ルな性質は強く遺伝するようで、この株の子孫からは枝を出す株が結構出ます。デンシフロラムと交配すると、「タコグラデンシ」が出ます。子吹き鳥羽玉みたいな、ある種のモンスト的形質と思われます。もし、皆さんのところにある株で、ふつうのグラキリウスだと思っていたのに、だんだんタコみたいになってきたと思ったら、この株の血が流れているかも知れません。




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 ところで、グラキリウスやほかのパキポディウムも、夏場の屋外栽培以外、特別なことはしなくても、十年もすれば輸入個体と区別がつかないくらいに仕上がります。パキポは成長も早く、種からでも育てやすい植物なので、自生地を根絶やしにしないためにも、業者さんにも頑張ってもらって今後は実生株中心になるといいですね。








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ジャンル : 趣味・実用

一点モノ⑦白ランポー玉(白鸞鳳玉)

             
白鸞鳳玉(Astrophytum coahuilense)、といわれてもピンと来ない人も多いかも知れません。
ランポー玉(Astrophytum myriostigma)と、どこが違うの?と言う声も聞こえてきそうです。同じ5稜の星形シェイプ、肌を覆う白い星点、確かに一見、同じ植物にも見えます。
でも、白ランポーは、ランポーとは実はかなり異なる特徴を持つ植物なのです。




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          Astrophytum coahuilense ex.habitat plant imported 30years ago.



写真の植物は、私が中学生の時に手に入れた、古い古い原産地球です。球形が15cmくらい、高さは40cm近くあります。
手に入れたときは、球径と高さが同じくらい、グレープフルーツくらいの大きさの山木でした。
当時から育てている植物のうち、今も手元に残っているものは多くありません。
この白ランポーが私の温室でいまも特等席におさまっているのは、手に入れたときの思い入れもさることながら、その後も大切にせずにはいられない魅力を放っているからです。




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          flowers are yellow with a characteristic orange to red throat
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          white flecks that cover the plant are very thick



まずは、このフォルムです。ランポー類は数多く育てて来ましたが、私の感性には、この株が一番美しい。たおやかで、豊満な印象を与える絶妙の曲線。上からこの見たシルエットは、栽培30年間、変わりません。稜線は分厚くアレオーレも大きい。これがずっしりした重量感を醸し出しています。
そして、白鸞鳳のレゾンデートルとも言える星白点は、フェルトのように分厚く、年月を経ても脱落せず、ランポー玉の白点とは、まったく違います。白さの質は違うけれど、コピアポア黒王丸と比べたくなる、骨のような白さです。花が咲いていなかったら、生きている植物には見えないくらい。
そして、ランポー玉とのもうひとつの違いが花の特徴です。ランポーの花がすべて黄色なのに対し、白ランポーは濃淡の幅はあるものの、花底の部分がオレンジまたは赤色に染まります。この株は色は薄い方ですが、底部はオレンジです。




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          Astrophytum coahuilense 10 years from seed
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          left:Astrophytum myriostigma  right:Astrophytum coahuilense



ここでちょっとややこしい話をすると、白ランポー玉とランポー玉は、外形的特徴の近似性から、同一種とする見解、文献も存在します。上の写真、3つ写っているのは、すべて白ランポー玉です。その下の2つ写っている写真、左側はふつうのランポー玉です。違いがわかりますか?
実は古くから園芸家はこの二つが異なる植物だと実感してきました。というのも、兜やランポー、瑞鳳玉、そしてこの白ランポー等を含むアストロフィツム属=有星類(Astrophytum)では、それぞれを掛け合わせて、様々な種間交配種が作られて来ましたが、その際に、瑞鳳玉(A.capricorne)×兜(A.asterias)、白ランポー玉×兜が容易に結実するのに対して、ランポー×兜、般若(A.ornatum)×兜、という組み合わせは、なかなか結実しないのです。このため、瑞鳳兜、白ラン兜はよくあるのに、般若兜、ランポー兜はまず見かけません。
当然、ランポー×白ランポーも、純種同士はなかなか結実しません。最近の、分子系統学的見地からの研究の中でも、アストロフィツム属を<兜・瑞鳳玉・白ランポー>と<ランポー・般若>の2群に分ける見解が示されていて、上述の園芸家の経験知と一致しています。前者のグループは底紅の花を咲かせ、後者は単純な黄色花を咲かせます。この見解に則れば、白ランポー玉は視覚的に似ているランポー玉よりも、兜の方により近いということになります。白ランポーはランポーの白点の多いタイプではなく、実は別種ということですね。




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さて、この白ランポー玉ですが、日本のサボテン界ではある時期まではランポーの高級品種的に扱われ、わりと珍重されていました。一方で変異に乏しく、ランポーのように様々な園芸改良種を生み出す母体にはなりにくくかった。
また、成長速度が遅く、栽培も少し難しいので、次第に栽培家の棚からは姿を消していきました。
最近は、かかりにくいランポーとの交配からの戻しなども進んで、白ランポーをベースにした園芸サボテンも作出されているようですが、原種はあまり見かけません。
私がこの株を入手した当時でも、実生育成の白ランポーは数が少なく、売っているのは輸入株が多かったと思います。当時の山木もふくめて、オリジナルの白ランポーを育てている人がいまどれだけいるでしょうか。




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ともあれ、この端整なフォルムと、サボテン界で他にないフェルトの肌。観賞植物としても、最新の園芸種に勝るとも劣らない存在感があります。しかもこの風格は、原野で生きていきた野生植物そのもの。
私のもとに来てからも、30年を生き抜いて、今も毎年多くの花を咲かせています。まさに人生の同伴者と言える植物です。









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ボルネオ紀行 動物篇

    
植物ではなくて、動物のことをここに書くのは初めてです。
8月に旅したボルネオでは、妻や子どもたちの興味に沿って、
どちらかと言えば、動物を見ることに力点を置いていました。
でも、樹上で自由に暮らすオランウータンや、絶滅寸前と言われる
ボルネオゾウなどに、僅か数日の旅でやすやすと出会える訳がない、
と正直あまり期待していませんでした。




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          oil palm plantation in Northern Sabah, Borneo



目的地へ向かう長い移動で、車窓から見えるのは果てしなく続く
アブラヤシ(Elaeis species)のプランテーションです。我々が口にする
食用油や石けんなど幅広く使われる換金性の高い作物で、作付面積は拡大
し続けています。その結果、森林が破壊され、オランウータンをはじめとする
野生動物の生息範囲期を著しく狭めていることはつとに知られるところです。
この風景を長い時間眺めていると、ちょっとだけ気持ちが萎えていきます。




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          Kinabatangan River



州都コタキナバルから1泊2日かけてたどりついたのは、サバ州北部を流れる
キナバタンガン川(Kinabatangan River)沿いの熱帯雨林です。
マレーシアで2番目に長い河で、ゆったりと蛇行しながら、ココア色の水が
流れている。川沿いは保全区域になっていて、かろうじてヤシ畑の浸食を
くいとめています。このあたりは河口からそう遠くない低地林で、コテージ風の
宿が散在していて、そこを拠点に生き物を見に行くわけです。




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          Macaca fascicularis



宿のすぐ近くで早速遭遇したのが、カニクイザル(Macaca fascicularis)。
このときは最初だったので、子どもたちも大喜びです。実はこのあたりに数多く
生息していて、出没率がとても高い野生動物だそう。宿の窓をあけて部屋を
荒らすこともあるとか。いかにも賢げな顔つきで、人との距離の取り方も絶妙。
ニホンザルよりも愛嬌を感じました。




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          It may be the nest of Orangutan



宿についたのは日暮れ時で、近くの森林を散策するうちに日が暮れます。
樹上に枯れ枝を寄せた巨大な鳥の巣のようなものを見つけました。
これがオランウータンの寝ぐらだと説明を受けます。森の賢者の気配が
残っているようで、何だかありがたい気分に。
天からは、ギャー、ギャーとやかましい鳥の叫び声。これがあの珍妙な姿の
サイチョウの声と言われましたが、姿が見えなければピンとは来ません。




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昼の時間の動物探しは、水上からがメインです。キナバタンガン川をボートで
行ったり来たりしながら、川岸の林にいる動物たちを見つけるのです。
これは、密林を藪漕ぎせずとも、スピーディにスキャンできる、実に能率の良い
方法だと思いました。動物たちの多くが、川に集まる習性を持っていること、
また、距離を保てるので、彼らに与えるストレスが少ないのも長所でしょう。




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          Macaca nemestrina



川沿いの木立にたくさんのサルが群がっています。
ブタオザル(Macaca nemestrina)です。
なんだか気の毒な名前がついていますが、ニホンザルにちょっと似ている。
ここでは数多く見られましたが、カニクイザルよりも稀少な種らしいです。
イチジクの仲間の実を食べたり、毛づくろいをしたり、こちらが川に浮かぶ
ボートにいるからか、リラックスした様子を見ることが出来ました。




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          Anthracoceros albirostris



高い樹の上に見つけたのは、前日、鳴き声だけを聞いたサイチョウです。
ガイド氏によればキタカササギサイチョウ(Anthracoceros albirostris)。
ユーモラスな姿にもかかわらず、蛇や小型の鳥まで襲うような猛々しい鳥
なのだそうです。紙飛行機みたいなシルエットで飛んでいく姿も面白かった。




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          Spilornis cheela



こちらは、カンムリワシ(Spilornis cheela)。
眼光鋭く、毛並みも美しく、実にハンサムな鳥です。自分の美しさを
理解しているかのように、こちらも高い木のてっぺんから下界を
見下ろしていました。




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          'clump of fur' sitting high on the tree



川を遡上しながらボートを走らせていると、ある一か所に何艘も集まっている。
動物ウォッチャーたちは、みな高い木の上を見上げて指さしたり、カメラを
構えています。ん?たしかに黒いモップみたいなものが、樹上に引っかかって
いるように見えます。それがモゾモゾ動くたびに、歓声があがります。




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          Pongo pygmaeus



ここでの大スター、オランウータン(Pongo pygmaeus)の登場です。
とにかく、高い木のてっぺんにいるので、目を凝らさないとよく見えない。
カメラの望遠レンズ越しにみると、黒い毛玉こそが、森の賢者でした。
数多の群集が見上げていることなど、まったく意に介せず、手を伸ばして
木の実を食したり、寛いだりしています。顔もふくめて真っ黒なので、
表情がよくうかがえなかったのですが、なんというか、存在感は凄かった。
心のなかをのぞいてみたくなるような、対話の方法を探してみたくなるような、
魅力のかたまりです。一生をかけてこの種を追いかける人たちが大勢いるのも
頷ける気がしました。




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          Nasalis larvatus
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          Macaca fascicularis



さて、大スターを見てしまうと、そのあとテングザル(Nasalis larvatus)や、
カニクイザルの大集団に出会っても、それまでほど心が躍らない。なぜかと
考えてみると、どの猿も同じく群れているからかなと。群れに埋没して生きる
ヒトというサルである私にとって、樹上で孤立生活を送るオランウータンは、
なぜか輝きを放って見えたのでした。でも、オランウータンとの出会いに満足
していたところに、さらなるイベント待っていました。
ボートマンがなにやら急加速して川の支流へと爆走しはじめたのです。




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          Elephas maximus 'borneensis'



ボルネオゾウ(Elephas maximus 'borneensis')です。
動物園などでよく見ているアフリカゾウに比べるとあきらかに小ぶりですが、
ガイド氏によると、子どもの象ではないとのこと。
キナバタンガワ川沿いのこうした草地には、時おり現れることがあるが、
開発で生息数が激減しているので、見られるのは一か月に一度あるかないか、
とのことでした。オランウータンも滅多に現れないので、一日で双方を
見られるのはかなり幸運なことだそうです。




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当の象さんは、ボートから大勢の人間が見ていることは気にしない様子で、
淡々と草を食んでいますが、全身は見えない。でも、なんとなく背中が
寂しく見えました。この場所も、ヤシ畑のために切り開かれた場所のようで、
ゾウにとっては危険な場所とも言えます。多くの象がヤシ畑に侵入して、
地元の人たちに撃たれているからです。




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夕暮れの川面を宿に戻りながら、複雑な思いを噛みしめました。
少なくともまだ、彼らはここに暮らしているし、まだその場所はある。
でも、もう10年経ったら、幻の動物になっているかも知れません。
それをどうすることも出来ず、何とかしようとアクションもとらず、
再びアブラヤシの畑のなかを車に揺られて帰っていくだけです。
幸運にも出会うことが出来た彼らの残像が、なんども、脳裏に
浮かんでは消えました。





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沙漠植物、栽培、探究。

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